イタリアの世界遺産「アクイレイアの遺跡地域と総大司教座聖堂のバシリカ」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(3), (4), (6)
登録年1998年

イタリア北東部のポー平原に位置するアクイレイアは、紀元前2世紀に設立され、「第2のローマ」として繁栄するものの、5世紀に破壊された都市。その後もこの地には総大司教座が置かれ、バシリカ式聖堂に残る4世紀のモザイクには、ラパルム(XとPを組み合わせたデザイン)も確認でき、中央ヨーロッパの布教において重要な役割を果たしたことを示しています

ここではアクイレイアの遺跡地域と総大司教座聖堂のバシリカがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、アクイレイアの遺跡地域と総大司教座聖堂について詳しくなること間違いなし!

目次

アクイレイアの遺跡地域と総大司教座聖堂のバシリカとは?

総大司教座聖堂のバシリカ
画像素材:shutterstock

アドリア海の北岸に位置するフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州に位置するアクイレイア。現在は小さな町ですが、町の起源は紀元前181年の共和制ローマ時代に遡り、地中海と中央ヨーロッパを結ぶ交易の中心となり、ローマ帝国でも大いに繁栄した都市でした。5世紀に西ゴート族やフン族などの侵攻によって都市は破壊されてしまい、現在は遺跡となっています。

しかし、遺跡は採掘場となってしまったため、現在は遺構しか残っていませんが、フォーラム(広場)、公共倉庫、浴場、邸宅、劇場、墓地などが点在し、発掘調査はまだ続いてて、都市の規模はローマでも最大級ものだった可能性があるほど。

アクイレイアの遺跡地域
画像素材:shutterstock

この地に残るのはアクイレイア大聖堂とも呼ばれる総大司教聖堂だけ。アクイレイアは、4世紀には司教座が置かれ、6世紀には総大司教にまで昇格しました。しかし、6世紀に再び異民族の侵入により、当時の総大司教が南のグラードへ逃亡すると、アクイレイア総大司教はアクイレイアを拠点としたローマ・カトリックの保護を受け、グラードのアクイレイア総大司教はビザンツ帝国の保護を受けるといった、2人の総大司教が存在することになります。グラードは11世紀に破壊されると、1450年にグラードの総大司教座はヴェネツィアへと移転。最終的にアクイレイアの総大司教座は1751年に解体していしまいます。

現在の聖堂は、1013年にかつて存在していた聖堂の跡に建造されたもので、14世紀に渡ってロマネスク様式を基本として、ゴシック様式が加えられていったもの。内部は身廊と2つの側廊から構成され、南側のホールには4世紀に建造されたラパルムが見られるモザイクがあるというのも特徴。他にも4世紀の礼拝堂や5世紀の洗礼堂、12世紀の地下聖堂など、さまざまな時代の遺構が残り、キリスト教の歴史が見られます。

アクイレイアの遺跡地域と総大司教座聖堂のバシリカはどんな理由で世界遺産に登録されているの?

総大司教座聖堂のバシリカ
画像素材:shutterstock

アクイレイアの遺跡地域と総大司教座聖堂が評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
アクイレイアの遺跡は、ローマ帝国初期においても繁栄した都市の姿を残すということ。

登録基準(iv)
古代アクイレイアの都市の大部分はまだ未発掘というほどで、ここは地中海世界における初期ローマ都市の中でも保存状態がよいものであるという点。

登録基準(vi)
アクイレイアの総大司教聖堂のバシリカは、中世初期に中央ヨーロッパへキリスト教を布教させるのに重要な役割を果たしたということ。

世界遺産マニアの結論と感想

アクイレイアは、まだ全貌は明らかになってはないのですが、ここはローマ帝国初期における最大級の都市であった可能性もあり、総大司教聖堂は中世における中央ヨーロッパのキリスト教の拡大という面において重要な役割を果たしたという点で評価されています。

ちなみに「総大司教」はカトリック教会において、その教区のトップであり、教皇や枢機卿よりも下の地位ではありますが、「総主教」は東方教会においては最高位聖職者であり、教皇と並ぶ地位にある称号。名前が似ていて、すごくややこしいのですが、総大司教は教皇よりも偉くないので要注意。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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