登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2),(4) |
登録年 | 1993年 |
フィリピン各地には16〜18世紀にスペイン人によって建造された独自の建築様式の教会が残っており、地震や台風にも耐えられることから「地震のバロック」とも呼ばれています。登録されているのは、ルソン島のマニラやサンタマリア、パオアイにある教会と、パナイ島のミアガオにある教会の4つ。
ここでは、フィリピンのバロック様式教会群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、バロック様式教会について詳しくなること間違いなし!
フィリピンのバロック様式教会群とは?
フィリピンの各島にはバロック様式の教会が残っていて、これらはスペインがフィリピンを支配していた16〜18世紀に建造されたもの。ルソン島のマニラやサンタマリア、パオアイにある教会と、パナイ島のミアガオにある教会の4つが登録。スペイン人による建築物であるものの、フィリピンの気候や地理的条件に合わせて、台風や地震対策として、天井を低くするなど、独自の工夫がされています。
これらは海賊や西欧列強などの侵入から防衛するために要塞ともなるという役割もあり、石もしくは珊瑚などを使用した堅固な構造になっていて耐震性にも優れています。そのことから「地震のバロック」とも呼ばれ、災害や第二次世界大戦などの戦火からも守られてきました。
登録されいる主な構成資産
サン・アグスチン教会/マニラ(ルソン島)
1571年に着工とフィリピンで最も古い教会とされるのが、マニラにあるサン・アグスチン教会。当初は簡易的な建築物だったのですが、19世紀に要塞のような堅固な教会に改築されました。教会の内部には19世紀にイタリアの画家によって描かれた宗教画や中国風の装飾など、東西の文化が入り混じった造りになっています。
サン・アグスチン教会/パオアイ(ルソン島)
名前はマニラの教会と同じではありますが、こちらはルソン島の北西部に位置する町・パオアイの中心部に位置する教会。控え壁という補助的な壁を24ヶ所も使用しているため、地震のバロックの中でも最も優れたもの。サンゴ石とレンガを使用した独特の外観で、花などをモチーフにした豪華なファサードがシンボル。
アスンシオン教会/サンタ・マリア(ルソン島)
ルソン島北西部にあるサンタ・マリアという町に建造されたもの。1765年に丘の上に建造されたレンガ造りの教会で、アスンシオンとは「聖母マリア被昇天」という意味で、聖母マリアが神やイエスに導かれて昇天したという信仰に基づいています。これは都市部に築かれる教会とは違い、サンタ・マリアの町を一望できるという要塞としての側面も持ち、鐘楼も聖堂と離れた位置にあるのも独特。
ビリャヌエバ教会/ミアガオ(パナイ島)
ミオガオはフィリピン中央部のパナイ島の南部に位置する町。1797年に建造された教会は、海沿いに位置するため、ここは外敵からの襲撃からの見張り塔のような役割もありました。サンゴ石で建造されたファサードは、フィリピンの文化とスペインの様式を組み合わせた傑作でもあります。2つの鐘楼は高さが均等ではないのは、それぞれ独自に設計されたというのが理由。
フィリピンのバロック様式教会群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
バロック様式教会が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
バロック様式教会は、フィリピンの地理的条件に合わせてデザインされていて、後のフィリピンの教会建築に影響を与えたという点。
登録基準(iv)
これらの教会は、ヨーロッパの教会建築との融合を示していて、地元の建築素材と装飾などを使用した、新たなる教会建築を築き上げているということ。
世界遺産マニアの結論と感想
世界遺産に登録されたのは4つだけですが、フィリピンには同じようなバロック様式の教会が多くあり、これらはヨーロッパから持たされたキリスト教と教会の建築様式を、フィリピンの人々の文化や気候に合わせて受け入れていったという点で評価されています。
パナイ島というとイメージが沸かないと思いますが、ここはセブ島に次ぐスペイン人の入植地でありました。むしろ、近くあるボラカイ島はリゾートとして有名なので、そっちのほうがイメージあるかもしれませんね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。