登録区分 | 複合遺産 |
登録基準 | (3), (6), (10) |
登録年 | 2015年 |
ジャマイカ南東部に位置するブルー・アンド・ジョン・クロウ・マウンテンズは、かつてマルーンと呼ばれるアフリカ系の黒人奴隷の隠れ家であった場所で、ここではマルーンがヨーロッパ列強の植民地制度に抵抗しつつ、宗教儀式や伝統医学、踊りなど、マルーン独特の文化を築いてきました。そして、カリブ諸島の中でも抜群の生物多様性のホットスポットであり、固有種が多いのも特徴。
ここではブルー・アンド・ジョン・クロウ・マウンテンズがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ブルー・アンド・ジョン・クロウ・マウンテンズについて詳しくなること間違いなし!
ブルー・アンド・ジョン・クロウ・マウンテンズとは?
コーヒーの銘柄として有名な「ブルーマウンテン」で知られるブルー・マウンテン山脈。ここは島の北東に位置するジョン・クロウ山脈をあわせて、「ブルー・アンド・ジョン・クロウ・マウンテンズ」と呼ばれ、熱帯山岳雨林が約263平方kmにも及ぶ広大なエリア。
自然遺産
ブルー・アンド・ジョン・クロウ・マウンテンズは、標高850mから2256mまで標高差が激しい地。標高ごとに多様な動植物が生息していて、生物多様性のホットスポットでもあります。特に固有の動植物の割合が高く、花は固有種が294種も見られ、カエルや鳥類などを含む絶滅危惧種も多く生息。
文化遺産
山岳地帯は、先住民のタイノ族が奴隷労働から逃れてきた地で、その後マルーンもここに住むようになり、コミュニティを築きました。山の中には女性の指導者であったグラニー・ナニーの名を冠したナニー・タウンやムーア・タウンなどの集落、展望台、山道などが今でも残り、ここでは宗教儀式や伝統医学、踊りなど、マルーン独特の文化が生まれたことから、これは2008年に「ムーア・タウンのマルーン遺産」として無形文化遺産にも登録。
ブルー・アンド・ジョン・クロウ・マウンテンズはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ブルー・アンド・ジョン・クロウ・マウンテンズが評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
ブルー・アンド・ジョン・クロウ・マウンテンズは、植民地時代のマルーンに関連した遺跡が残っていて、それらは奴隷制度からの自由を求めて彼ら独自の文化を発展させ、島に住む人々のアイデンティティへと繋がっているという点。
登録基準(vi)
ブルー・アンド・ジョン・クロウ・マウンテンズは、アフリカに起源があるマルーンたちの生活に関連し、彼らの伝統や思想などが見られ、2008年には「ムーア・タウンのマルーン遺産」として無形文化遺産にも登録されているということ。
登録基準(x)
ブルー・アンド・ジョン・クロウ・マウンテンズは、カリブ海の中でも生物多様性のホットスポットが見られる地であり、特に花は1357種も見られ、そのうち294種はジャマイカの固有種であり、他にも固有の地衣類や植物など、カリブ海独自の固有種が多く存在するという点。
世界遺産マニアの結論と感想
文化遺産としてはかなり分かりづらいですが、かつて逃亡奴隷だったマルーンがここに隠れ住むと、宗教や医学、踊りなど、彼ら独自の文化が築かれ、それは現在は無形文化にも登録されるほど。そして、自然遺産としては、カリブ海でも最大級の生物多様性のホットスポットであり、固有種が多く、絶滅危惧種のカエルや鳥類などが見られるという点で評価。
ちなみに、コーヒー銘柄としての「ブルーマウンテン」は標高800から1200mまでのエリアで採取された豆だけを使用するものですが、今や日本に輸入される「ブルーマウンテン」のほとんどが、標高800m以下の麓で栽培されたもの。本来のブルーマウンテンは超高級品で、まず簡単に飲めるものではないため、「ブルーマウンテン」を飲むと大抵、麓で採取された安価なものであると思ったほうが無難。
そして、ブルーマウンテンは、「英国王室御用達コーヒー」というキャッチがよく使われますが、これは当時はジャマイカは英国領であったために、「英国王室も飲んでいるだろう…」と考えられたもの。実際に飲んでいたかどうかは不明です。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。