登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (4) |
登録年 | 2000年 |
ロシア北西部にあるフェラポントフ修道院は、14世紀末に修道士のフェラポントフによって設立されました。ここはロジェストヴェンスキー聖堂(生神女誕生聖堂)を中心に15〜17世紀にかけて建造された教会や鐘楼、宝物館などロシア正教会の建造物が点在。特にロジェストヴェンスキー聖堂には15世紀のロシアを代表するイコン画家のディオニシーによる聖母マリアを祟る壁画が今でも残っています。
ここではフェラポントフ修道院の建造物群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、フェラポントフ修道院について詳しくなること間違いなし!
フェラポントフ修道院の建造物群とは?
フェラポントフ修道院はロシア北西部ヴォログダ州に位置し、州都ヴォログダから北西へ約120kmの距離にあり、ここには2つの湖に囲まれた丘の上に築かれています。修道院はモスクワの修道士フェラポントによって1398年に設立。6つの建造物が現存しますが、ロジェストヴェンスキー聖堂(生神女誕生聖堂)が中心となり、3つの教会と鐘楼、宝物館などで構成されています。ここはモスクワ公国のイヴァン3世(1440〜1505年)によって承認されたということもあり、彼の一族に保護され、この地域の文化の中心となり、首都モスクワへ影響を与えた修道院の一つでもありました。
ロジェストヴェンスキー聖堂は、三廊式で1つのドームを持つという構造となっていて、内部には15世紀のロシア最大イコン画家であったディオニシーによって聖母マリアを祟る壁画が残っていてほぼ完全な形で保存されています。これはロシアに現存する同時代の壁画の中でも最大傑作。しかし、17世紀以降は徐々に流刑地として使用されるようになり、1798年に修道院は廃止され、その後も何度も閉鎖し、1975年以降は美術館となりました。そのためここは15〜17世紀のロシア北部の修道院の姿を創建当時のままを残すという点で貴重。
フェラポントフ修道院の建造物群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
フェラポントフ修道院が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
フェラポントフ修道院のロジェストヴェンスキー聖堂にあるディオニシーの壁画は15〜16世紀におけるロシア壁画の中でも傑作であるという点。
登録基準(iv)
フェラポントフ修道院の建造物群は、ロシアの文化や宗教の発展において重要な時期であり、15〜17世紀に造られたロシア正教会の修道院の中でもほぼ完璧に残されているということ。
世界遺産マニアの結論と感想
フェラポントフ修道院は、15〜17世紀というロシアの文化や宗教が花咲いた時期に建造されたこともあり、他の修道院は改築されて姿を変えていく中、ここはディオニシーによる傑作を含めて当時の姿をそのまま残しているという点で評価されています。
ちなみに、生神女誕生聖堂の「生神女」は正教会においては聖母マリアを示すもの。あまり馴染みがありませんが、聖母マリアの誕生日は9月21日とされるものの、あくまでも伝承程度。国によっては祝日だったりすることもあり、聖堂ではこれを祝うという点でこの名前が付けられていたりします。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。