登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (3), (4) |
登録年 | 2019年 |
ドイツ南東部とチェコ北西部に位置するエルツ山地(クルスボリ)は、中世以降にさまざまな鉱物が採掘されてきた場所。特に15〜16世紀にかけてヨーロッパで最も重要な鉄鉱石の供給地となり、世界中に技術革新が起こるきっかけにもなりました。19世紀の終わりにはウランの生産地として有名な場所に。
ここではエルツ山地(クルスナホリ)鉱業地域がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、エルツ山地鉱業地域について詳しくなること間違いなし!
エルツ山地(クルスナホリ)鉱業地域とは?
ドイツ南東部のザクセン州とチェコ北西部に位置するエルツ山(チェコ語・クルスナホリ)は標高1244m。ここはドイツとチェコの国境線となっています。12世紀に銀鉱脈が発見されると、20世紀まで約800年に渡ってさまざまな鉱物が採掘されてきた場所。
特にここは1460〜1560年において、ヨーロッパで最も重要な銀の供給地でもありました。そして、スズは16〜18世紀にかけて採掘され、19世紀後半から20世紀にかけて世界でも主要なウランの生産地にもなりました。
エルツ山地は長年にかけて鉱山として発展したため、先駆的な水管理システムや輸送インフラ、鉱山町なども同時に発展していき、ここはヨーロッパ有数の鉱山として、他の工業地域に影響を与えました。世界遺産として登録されたのは、エルツ山地の周囲にある22ヶ所の鉱山と関連施設。
エルツ山地(クルスナホリ)鉱業地域はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
エルツ山地鉱業地域が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
エルツ山地(クルスナホリ)鉱業地域は、ルネサンス期から現在まで技術や科学革新の中心地であり、この地の鉱山の労働者が世界中に移住したことで技術の交流も発生し、世界的な影響を与えたということ。
登録基準(iii)
エルツ山地(クルスナホリ)鉱業地域は、古くからエルツ山地の採掘の伝統が残り、ここはヨーロッパのすべての鉱業地帯の経済や法律、行政などの社会システム、そして、国営の鉱業組織は近世の貨幣制度の発展に影響を与えたということ。
登録基準(iv)
エルツ山地(クルスナホリ)鉱業地域は、かつての繁栄を示す鉱山の町並みや科学技術、文化的景観は中世から現在まで見られ、地上と地下で見られる水管理システムの存在なども証明しているという点。
世界遺産マニアの結論と感想
エルツ山地(クルスナホリ)鉱業地域は、中世からさまざまな鉱物が採掘されることから採掘にまつわる科学技術が発展し、この地で見られる鉱業は世界中に影響を与えたという点で評価されています。
エルツ山脈のザイフェン村では、くるみ割り人形が特産品。これはくるみを噛ませ、背中のレバーで割るという人形で、ドイツのクリスマスの代表的な装飾品でもあります。ちなみに、人形は王様や兵士などがモデルにされますが、これは庶民の食べ物であるクルミを偉そうな人に割ってもらうという鬱憤晴らしでもあったとか。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。