登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (4) |
登録年 | 2011年 |
ドイツ中央部にあるアルフェルトという小さな街には、1910年に建造された10棟から構成される靴型工場があり、これは近代建築の四大巨匠の一人、ヴァルター・グロピウスによって設計されたモダニズム建築の一つ。ここは現役の工場でもあり、巨大なガラスパネルと機能美を備えた施設は、彼が校長を務めた総合造形学校・バウハウスによる作品であり、ヨーロッパと北米の建築の発展を示すもの。
ここではアルフェルトのファグス工場がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ファグス工場 について詳しくなること間違いなし!
アルフェルトのファグス工場とは?
ドイツの北東部ニーダーザクセン州にあるアルフェルトという小さな街には、今でも現役の製靴用の靴型工場があります。ここは近代建築の四大巨匠の一人、ヴァルター・グロピウス(1883〜1969年)によって設計された工場。ファグス社の創設者であるカール・ベンシャイト(1858〜1947年)は新しい建造物を渇望していて、それまで担当していた建築家の案をベースに1911年にグロピウスへと再設計を依頼し、結果としてここはモダニズム建築と工業デザインが統一された広大な作品となりました。
工場は巨大なガラスのカーテンウォールと支柱のない角を組み合わせたという革新的なデザインで、当時の基本であった外観に装飾を加える建築スタイルとは全く異なり、機能主義的な産業建造物の草分け的な存在。拡張工事は1913年に始まり、1925年まで彼が校長を務めた総合造形学校・バウハウスの同僚や生徒たちによって内装や家具が設計され続けました。
アルフェルトのファグス工場はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ファグス工場が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
アルフェルトのファグス工場は、ドイツ、ヨーロッパ、北アメリカの異なる世代の建築家の交流が見られ、それにより合理的なモダニズム建築が生まれました。工場は技術、芸術、人間主義が組み合わされ、ここはバウハウスの活動の出発点でもあったという点。
登録基準(iv)
アルフェルトのファグス工場は、光を取り込み、室内に明るさをもたらすカーテンウォールを採用し、これは当時としては革新的で、ヒューマニズムの観点から生産性と労働環境に配慮したもの。これは工業にデザインという新たな概念を取り入れたという点で、モダニズム建築家であるウォルター・グロピウスに名声をもたらせたということ。
世界遺産マニアの結論と感想
アルフェルトのファグス工場は、ベンシャイトが当時の革新的なモダニズム建築家のグロピウスに設計を依頼したことから、ドイツだけでなく、ヨーロッパや北アメリカなどの建築家との交流を通じ、当時としては革新的で労働環境を改善する「カーテンウォール」を導入。工業にデザインを取り入れたという初期モダニズム建築であり、これはやがてバウハウスの校舎にも繋がるものであったという点で評価されています。
ちなみに、ファグス工場は彼の師匠であるピーター・ベーレンスが設計したAEGタービン工場の影響を受けていて、ちょっと似ている部分も。彼はタービン工場の建設プロジェクトに関わっていたことから、いろいろと思うことがあり、ファグス工場でその倒置を実現したのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。