イギリスの世界遺産「フォース橋」とは?日本人技師も携わった橋を世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(1), (4)
登録年2015年

スコットランド東部のフォース川の河口に架かるフォース橋は、ファイフとエジンバラを鉄道で結ぶカンチレバー橋です。2529mとカンチレバー橋としては世界でも2番目の長さではあるものの、どうして世界遺産になったのでしょうか?

ここでは、フォース橋がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、フォース橋について詳しくなること間違いなし!

目次

フォース橋とは?

フォース橋
画像素材:shutterstock

スコットランドのフォース河口を横切るこの鉄道橋は、1890年に開通した時は、2529mと世界最大のカンチレバー橋だったもの。カンチレバー橋というのは、両側の橋脚から張り出した片持ち梁(カンチレバー)を使用して、安定させる橋のこと。今でも現役で使われているのが驚きですね!

フォース橋がなぜカンチレバー橋で作られたかというと、さまざまな困難を経て、現在の形になったのです。19世紀末になると、イギリス中に鉄道路線が網羅されるようになり、川を渡るのに鉄道橋の建設が進められました。1878年には、フォース河口には格子構造の初代テイ橋があったものの、落橋事故が起きてしまいます。そこで、より強固な鉄道橋が求められたのでした。

このフォース橋は、3つの菱形をしたカンチレバーと、それに支えられるガーダー橋で構成されています。とにかく安定させようと、材料としては5万4000トン以上の軟鋼が使われているのが特徴。その姿は「鉄の恐竜」と呼ばれ、まさに産業が残したモンスターといえるでしょう。

フォース橋はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

フォース橋
画像素材:shutterstock

世界遺産として、評価されたのが次の点。

登録基準(i)
フォース橋は、その巨大で機能的な構造を持ち、産業遺産の傑作であるという点。

登録基準(iv)
フォース橋は、鉄道が陸上交通の主役になった時期に作られた、橋の設計と建設の良き見本。特に19世紀で世界最先端の素材であった軟鋼が使われているということが評価。

つまり、19世紀末にこんなに巨大な鉄道橋が作られること自体がすごかった!ということですね。産業系の建築物好きにはたまらない建設物であります。

実はスコットランドのお札に顔が出たことも!橋の完成は日本人技師の活躍あった?

フォース橋
画像素材:shutterstock

実は、日本の土木工学の父・渡邊嘉一がフォース橋に関わっていたということも有名です。渡邊はスコットランドのグラスゴー大学で土木工学を専攻した跡、技師として活躍。そして、フォース橋の監督係として参画していたんです。

そして、カンチレバーの構造を実演するために、主任技術士であったジョン・ファウラーと一緒にブラリとぶら下がる写真を撮影したのですが、その写真が以前の20ポンド紙幣に小さく使用されていたのです。これは、日本以外で日本人の顔がお札に刷られたというレアなケースでもありました。

世界遺産マニアの結論と感想

産業系の遺産はわかりづらく、説明されて初めて価値が分かるのですが、これは「鉄の恐竜」と呼ばれるだけあって、川にかかった巨大な鉄道橋の迫力に圧倒されます!遠くから見たら、赤いネッシーのよう…。スコットランドだけに。

ちなみにですが、フォース橋を見に行くのなら、北側のノースクイーンズフェリー駅か南側のダルメニー駅に降りる必要があるのですが、南側のほうが橋を眺められるホテルやレストランが多いのでこちらがおすすめ!ちなみに、橋を撮影するのなら午後のほうが逆光にならないので綺麗に撮影できます。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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