登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (7), (10) |
登録年 | 1984年(アルゼンチン)、1986年(ブラジル) |
アルゼンチンとブラジルの国境に位置するイグアスの滝は、イグアス川の対岸にそれぞれ「イグアス国立公園」が設立され、両方とも「イグアス国立公園」として登録されているのです。よって、登録面積はブラジルのほうが広いのですが、滝の8割はアルゼンチン側にあるという非常に珍しい世界遺産に。
ここでは、イグアス国立公園がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、イグアスの滝について詳しくなること間違いなし!
※ここでは、アルゼンチン側とブラジル側の2つの世界遺産を一つの記事でまとめています。
イグアス国立公園とは?その場所は?
イグアスの滝はどこにあるの?
アルゼンチンとブラジルの国境に位置するイグアス川。ここには全体の幅が2700m以上、最大の高さは80mで世界最大の水量を誇る滝、イグアスの滝があることで有名です。滝は位置としては、アルゼンチン北東部のミシオネス州とブラジル南部のパラナ州にまたがる場所。
滝はほとんどがアルゼンチン領となっており、上流がアルゼンチン側で下流がブラジル側。それぞれ「イグアス国立公園」としており、登録面積はブラジルのほうが広いのですが、滝の8割はアルゼンチン側にあります。1984年に登録されたアルゼンチンの「イグアス国立公園」は約555平方km、1986年に登録されたブラジルの「イグアス国立公園」は約1700平方kmの広さ。
イグアスは先住民のグアラニ族の言葉で「巨大な水」という意味。イグアス川は全長1320kmを超える大きな川。起源はブラジルの東岸の山脈で、パラグアイのパラナ川に合流する前に大きくカーブするため、切り立った崖から275もの滝が流れ落ちるという地形が形成されました。雨季には毎秒6万5000トンという大量の水を吐き出しています。
ベストシーズンは?
イグアスの滝のベストシーズンは、日本とは季節も真逆なため、10月から3月です。この時期は滝の水量が多くなるため、水量の多いイメージ通りの滝を眺めることができるでしょう。しかし、12月から1月は特に水量が多すぎて、逆に泥が水に混じってしまい、茶色に見えてしまうこともあるので注意。
アルゼンチン側のイグアスの滝
実はイグアスの滝の8割がアルゼンチンに含まれています。特に最奥部にある「ガルガンタ・デル・ディアブロ(悪魔ののど笛)」と呼ばれる滝は、高さ80mで毎秒7000トンもの量が流れ落ちるというイグアスの滝の中でも最大規模。滝には遊歩道が設置しており、上流から見下ろすように眺めることができるのが特徴。
周辺のジャングルには2000種類以上の維管束植物が存在してり、絶滅危惧種のオオアリクイやオウギワシなどが生息しています。
ブラジル側のイグアスの滝
イグアスの滝としては2割ほどしか登録されていないのですが、下流にあるため、展望台からは「悪魔ののど笛」の全景を眺めることも可能。こちらは約1700平方kmの広さを誇る公園で、滝が流れ落ちることによって霧が発生し、それが植物の成長を促しています。こちらにも絶滅危惧種のオオアリクイが生息し、オオカワウソも見られることで有名。
イグアス国立公園はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
イグアスの滝が評価されたのが、以下の点。
アルゼンチン側
登録基準(vii)
イグアスの滝には多数の滝が流れ、滝の幅は世界でも最大級であり、壮麗な景観を持つという点。
登録基準(x)
公園内には、2000種以上の植物、400種の鳥、約80種の哺乳類が住み、絶滅危惧種のオオアリクイやオウギワシなどが生息しているという点。
ブラジル側
登録基準(vii)
イグアスの滝の幅は世界でも最大級であり、そこはら発生する水霧は迫力のある景観を作り出すという点。
登録基準(x)
公園内には、絶滅危惧種のオオアリクイやオウギワシ、オオカワウソなどが生息しているという点。
世界遺産マニアの結論と感想
アルゼンチン・ブラジルどちらも「イグアス国立公園」ではあるものの、互いに接していて世界遺産であることから、ひと括りにされることが多いですね。登録基準も同じで、どちらも滝の景観と絶滅危惧種が住むということが評価の対象になっています。
ちなみに、イグアスの滝はアルゼンチンとブラジルの国境沿いにはあるものの、パラグアイの国境も近くにあり、なんと30kmも行けば国境に到達。ここは3カ国の国境が近くに存在する珍しい場所でもあるのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。