チェコの世界遺産「クラドルビ・ナト・ラベムの儀礼用馬車馬の繁殖・訓練の景観」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(4), (5)
登録年2019年

クラドルビ・ナド・ラベムは、チェコ中央部にある小さな村で、ここはエルベ川の氾濫原に位置します。これらはチェコ最古の馬種であるクラドルバー種を繁殖・訓練させるために作られた施設で、クラドルバー種はハプスブルク家の馬車馬として使用されていた貴重な種。そのため、ここは16世紀から「フォルネ・オルネ」という美学的な要素が配置された農場でもあり、村には文化的景観が広がっています。

ここではクラドルビ・ナト・ラベムの儀礼用馬車馬がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、クラドルビ・ナト・ラベムについて詳しくなること間違いなし!

目次

クラドルビ・ナト・ラベムの儀礼用馬車馬の繁殖・訓練の景観とは?

クラドルビ・ナト・ラベムの儀礼用馬車馬の繁殖・訓練の景観
画像素材:shutterstock

チェコ中央部のパルドゥビツェ州にあるクラドルビ・ナト・ラベムは小さな村で、記録としては13世紀から存在。1563年になると、チェコ最古の馬種のクラドルバー種を繁殖するため、ハプスブルク家の皇帝マクシミリアン2世がここに種馬の飼育場を設立したことが現在の景観のきっかけとなりました。1579年に息子のルドルフ2世がここを宮廷種馬場とする勅許を与え、17世紀以降は宮廷式典用の馬車馬として繁殖・訓練が行われてきた地でもあります。

そのような背景もあり、この地の景観は馬を飼育することだけに特化していき、ハプルブルク家によって「フォルネ・オルネ」という美学的な要素が配置された農場が設計されました。これらはフランスやイギリスの景観設計に沿っていて、U字型の湖、古典的なフェンスで囲まれた牧草地、まっすぐな並木道が続き、森や灌漑用の水路などの機能的な利用を含め、絶対君主制の時代の中でヨーロッパの馬術文化が繁栄した場所として評価されています。

クラドルビ・ナト・ラベムの儀礼用馬車馬の繁殖・訓練の景観はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

クラドルビ・ナト・ラベムの儀礼用馬車馬の繁殖・訓練の景観
画像素材:shutterstock

クラドルビ・ナト・ラベムが評価されたのが、以下の点。

登録基準(iv)
クラドルビ・ナド・ラベムは、式典用の馬車馬として繁殖と訓練をするための景観が広がっていて、古典主義やロマン派の造園の法則を利用して、何世紀に渡って変化してきたという景観の代表的な例であり、絶対君主制期のハプスブルク家の発展も示しています。そして、これらはヨーロッパにおける4世紀以上に渡る馬術文化の発展も示すものであるという点。

登録基準(v)
クラドルビ・ナド・ラベムの景観は、何世紀にも渡って河川地域の地形や水利施設、環境資源を馬の繁殖と訓練のため、意図的に利用したきたということもあり、ここはU字型の湖やフェンスで囲まれた牧草地、大通り、灌漑用の水路などの景観が広がり、クラドルバー馬のための環境と人間の相互作用が見られるということ。

世界遺産マニアの結論と感想

クラドルビ・ナド・ラベムは、ハプスブルク家の式典用の馬車馬であるクラドルバー種を繁殖・訓練するための農場があり、牧草地や湖、通路などを含めた景観が広がっていて、これらはヨーロッパにおける馬術文化も示し、人間と環境の相互作用が見られる文化的景観が残されているという点で評価されています。

ちなみに、パルドゥビツェ州はほとんどがチェコ西部のボヘミア地方に含まれていますが、南東部だけがチェコ東部のモラヴィア地方という文化の境目に位置するエリア。ボヘミア地方は牧畜が盛んで、黒い革の帽子に革のベストやズボンを履いていたことから、カウボーイのようなイメージがあることから、ある意味、クラドルビ・ナド・ラベムはボヘミアらしい世界遺産でもあります。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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