登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (7),(8),(9),(10) |
登録年 | 1996年 |
ロシア南東部にあるバイカル湖は「シベリアの真珠」と呼ばれ、世界一の透明度を誇ります。水深約1700mと世界で一番の深さで、約2500万年前に形成と世界で最も古い湖でもあり、豊かな生物相を誇り、淡水に生息するバイカルアザラシが見られることでも有名。
ここではバイカル湖がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、バイカル湖について詳しくなること間違いなし!
バイカル湖とは?場所はどこにある?
バイカル湖は、極東連邦管区にあるブリヤート共和国とザバイカリエ地方、シベリア連邦管区のイルクーツク州にまたぐ三日月型の湖。面積は3万2000kmとカスピ海を除くと、ユーラシア大陸最大の広さで、その誕生は約2500万年前にも遡り、世界でも最も古い湖でもあります。湖底で地震が発生するため、化学物質や鉱物が浄化するという構造に。
世界でも最大級の貯水量を誇り、栄養素がないのにもかかわらず、生物相は豊かでもあります。水生生物は固有種も多く、1500種以上も生息しているほど。ヨコエビ類の端脚類などが、適応放散によって固有種が多く存在することから、「ロシアのガラパゴス」とも呼ばれます。
バイカル湖は世界一深い湖?
最新のデータだと、バイカル湖の最大深度は「1642m」となっていて、世界で一番深い湖。最大深度については、資料によってばらつきがあり、1634〜1741mとさまざまな説があります。そのため、一般的には「約1700m」と紹介されていることがほとんど。ここはユーラシアプレートとアムールプレートの境界にあり、地溝の陥没部分になっているのが特徴です。
バイカル湖は世界一透明な湖?
ここは世界一の透明な湖としても知られます。これも資料についてばらつきがあるものの、深さ40.5mまで見渡せるというほど(1911年)。さらには、表層の透明度は光度計で計測すると深さが250~300mにも達する箇所もあり、さらには深層は300~400mにもなる場所も。かつて深さ41.6mの透明度(1930年)を誇った北海道の摩周湖に次いで世界2位だったものの、最近は摩周湖の透明度は深さ15〜30m程度であるため、再びバイカル湖が世界一となっています。
バイカルアザラシ
世界で唯一の淡水のみで生息するというアザラシで、バイカル湖を代表する動物です。体長100〜140cmと他のアザラシよりも小型。北極海から川を渡ってたどり着いたアザラシが独自に進化したものとされ、潜水が得意で数十分も続けられるという抜群の運動量を誇ります。そして、湖のエビなどを捕食していて、生態系の頂点に位置する生物。
バイカル湖はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
バイカル湖が評価されたのが、以下の点。
登録基準(vii)
バイカル湖は世界で最も古く、世界で最も深い湖であるという点。
登録基準(viii)
300を越える川から湖へ水が流れ落ちるにもかかわらず、流れ出るのはアンガラ川のみのため、ここには世界の凍結されていない淡水の総貯水量の約20%も存在するということ。
登録基準(xi)
「ロシアのガラパゴス」として知られ、固有種も多く、世界でも数少ない淡水生物の種類が多く見られる場所であるという点。
登録基準(x)
バイカル湖は水質汚染も問題になっており、固有種の中でも絶滅に瀕している生物もいるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
世界で最も古く、世界で最も深く、世界で最も透明度が高いと、世界一だらけの湖ですが、ここは淡水湖としての貯水量も多く、淡水生物が独自で進化して「ロシアのガラパゴス」と呼ばれるほどに固有種が見られるという点で評価。しかし、水質汚染のため、絶滅に瀕している生物がいるというのも問題になっています。
ちなみに、バイカル湖の名物といえば、サケ科の白身魚であるオームリ。燻製や塩漬けにして食べられていてその味わいは絶品。日本でも養殖を図ったものの、結局成功はしませんでした。近縁種は成功させることができたので、いつかは養殖できるようになってほしいですね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。