登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1),(2),(3),(6) |
登録年 | 1984年 |
インド南東部、チェンナイから南へ約60kmのベンガル湾に面したマハーバリプラム。ここは7〜8世紀のパッラヴァ朝時代に築かれたヒンドゥー教遺跡。敷地内には、ラタと呼ばれる石彫寺院と「ガンガーの降下」と呼ばれる、世界最大規模の岩壁彫刻などが点在しています。
ここではマハーバリプラムの建造物群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、 マハーバリプラムの建造物群について詳しくなること間違いなし!
マハーバリプラムの建造物群とは?
インド南東部にあるタミル・ナードゥ州のベンガル湾沿いに位置する、かつての港湾都市。ここはタミル系王朝パッラヴァ朝(275〜897年)の都だった場所で、6世紀以降は貿易港と栄えました。7〜8世紀になるとヒンドゥー教の寺院や彫刻などが築かれ、海岸には石造寺院、台地には石窟寺院など、これらは地形を利用して建造されたもの。ここは王国内のヒンドゥー教の聖地でもありました。
マハーバリプラムの建造物群が建造された頃の南インドは、パッラヴァ朝、チャールキヤ朝、パーンディヤ朝など、さまざまな王朝が競う時代で、次第に北インドで築かれたヒンドゥー教文化が仏教やジャイナ教、民間信仰に変わって浸透していき、南インドならではの独特の文化が生まれました。
9世紀に王朝が滅んだ後は遺構となって現在まで残っています。そして、ここで確立された建築様式はタミル商人たちによってスリランカや東南アジアに伝えられ、ライバル国家であったチャールキヤ朝にも伝えられていきました。
ラサ(石彫寺院)
岩の塊を削って造られた石彫寺院は「ラタ(戦車)」と呼ばれ、当時の木造寺院を岩で模したもの。ここにあるのは「パンチャ・ラタ(5つのラタ)」という、5つの寺院が連続するという独特な構造です。それぞれインドの叙事詩『マハーバーラタ』の主要人物の名が名付けられていて、精巧な装飾や彫刻などが特徴。
ガンガーの降下(岩壁彫刻)
石で削ったレリーフとしては世界最大規模の彫刻。高さ9m、幅227mの岩山に建造されたもの。これは『マハーバーラタ』の一場面である「アルジュナの苦行」を描いたものとされています。
マハーバリプラムの建造物群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
マハーバリプラムの建造物群が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
「ガンガーの降下」などの岩壁彫刻は、南インドならではの独特の芸術作品であるという点。
登録基準(ii)
マハーバリプラムの建造物群は、東南アジアなどの建築物に影響を与えたということ。
登録基準(iii)
遺跡は、インド南東部を支配したパッラヴァ朝の繁栄を残すという点。
登録基準(vi)
遺跡はかつてのヒンドゥー教の聖地で、シヴァ信仰の中心地であったということ。
世界遺産マニアの結論と感想
北インドに比べ、南インドのヒンドゥー教建築に関してはイメージが沸かないと思いますが、6世紀以降はこの地にはヒンドゥー教が伝えられ、当時ここを支配していたパッラヴァ朝によって寺院が建造されると、次第にマハーバリプラムが聖地になっていったのです。そして、ここで確立された独特で美しい寺院建築は周囲の国々と東南アジアの国々に影響を与えたという点で評価されています。
近郊のチェンナイは、かつては「マドラス」と呼ばれ、現在は工業都市として有名で、ムンバイ、デリー、コルカタに次いで大手企業が存在する大都市でもあります。ちなみに大阪に「マドラスカレー」という名店はありますが、特にマドラスで食べられているカレーというわけではないので要注意(よくある名前です…)。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。