登録区分(暫定リストに記載) | 文化遺産 |
---|---|
登録基準(暫定リストに記載) | (1), (3), (5) |
申請年(暫定リストに記載) | 2020年 |
オーストラリア西部にインド洋に突き出たバーラップ半島は、かつてはムルジュガと呼ばれ、赤い岩が多く連なる場所。各地で人間や動物を描いた岩絵が点在し、これらは絶滅動物の姿だけでなく、この地で暮らしていたアボリジニたちの文化や世界観が分かるという点でも貴重なもの。
ここではムルジュガの文化的景観がなぜ世界遺産候補なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ムルジュガの文化的景観について詳しくなること間違なし!
ムルジュガの文化的景観とは?
西オーストラリア州のピルバラの沿岸部分にあるのが、バーラップ半島。ここはアボリジニからは「ムルジュガ」と呼ばれるエリアであり、もともとは島でした。そして、ムルジュガは周囲の島々を含んでいて、約370平方kmの範囲の中に、なんと100万枚もの岩絵が描かれています。これはかつてこのエリアで暮らしていたアボリジニの祖先たちが描いたもの。
これらは5万年前から描かれ始めたとされ、現在は乾燥地帯ですが、かつては緑が豊かな場所で、当時暮らしていたワラビーやワ二を描いたものあり、さらには現在は絶滅した、有袋類のフクロオオカミ(タスマニアタイガー)なども見られるというのも特徴。そして、ここは現在も聖域であり、現在も政府が支援しつつ、この地で暮らすアボリジニによって管理されています。
ムルジュガの文化的景観はどんな理由で世界遺産に登録される予定なの?
ムルジュガの文化的景観が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
登録基準(iii)
登録基準(v)
ムルジュガは約370平方mという敷地の中で100万を越える岩絵が密集するという世界でも珍しい地域で、かつてこの地で暮らしていた採取狩猟民の姿も描かれていて、狩猟だけでなく、儀式の姿まで描写されていました。そして、絶滅した種も含め、さまざまな動物が描かれていて芸術的側面だけではなく、アボリジニの宇宙観や宗教観もよく分かり、現在も子孫たちにとって特別な地とされていて、その文化的伝統がこの地で生き続けているという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ムルジェガは、世界でも有数の密集した岩絵が続くエリアで、人や動物などが描かれ、岩絵には芸術性だけでなく、5万年に渡ってこの地で暮らしてきたアボリジニの伝統文化が見られるという点で評価されています。
ちなみに、半島沖には2020年に2つの海底遺跡が発見され、この地は最終氷河期以前には海面が沈下していたことから、その時代の人類の暮らしが分かる資料として大変貴重なもの。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。