登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (4) |
登録年 | 2021年 |
イタリア北部の都市ボローニャには、古代ローマから栄えた都市で、中世には「ポルチコ」と呼ばれる、屋根付きで柱廊が並ぶアーケードが街中に建造されました。なんと合計で62kmにも及ぶといい、雨風を防ぐという独特の構造はここで商売をする人々にとっては最適で、ボローニャ名物となっています。
ここではボローニャのポルチコ群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ボローニャのポルチコ群について詳しくなること間違いなし!
ボローニャのポルチコ群とは?
ボローニャは、エミリア=ロマーニャ州の州都で、その歴史は古代ローマまで遡るもの。特に11世紀にはヨーロッパ初の大学が建造され、当時のイタリアにおいて有数の経済都市でした。
11〜12世紀になるとポルチコと呼ばれる屋根付きの柱廊が築かれていきます。ポルチコは一般的に建築物の入口に柱が並ぶという構造ではありますが、ボローニャの場合、13世紀にはすべての建築物はポルチコを建造しなくてならないというルールも設定された上に、建物が連続していたため、ポルチコがアーケードとして続くというのが特徴で、街中だけでも合計で40km、なんと周囲をあわせると合計で62kmほどの長さになりました。
ポルチコは通りの片側や両側、小道などに覆われていて、木製のものから、石やレンガで形成されるものもあり、素材はいろいろ。雨風に関係なく移動できるというのは商人にとっては都合の良いものでした。その中でもサン・ルカのポルチコは市内でも最大規模のポルチコで、丘の麓から頂上のサン・ルカの聖域まで7.5kmも続いています。
20世紀になるとコンクリートを使用することで、それまでのアーチ状だけでなく、さらに自由度が増し、新しい様式のポルチコも誕生しました。こうして公共物としてのポルチコはボローニャのアイデンティティともなっています。
ボローニャのポルチコ群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ボローニャのポルチコ群が評価されたのが、以下の点。
登録基準(iv)
ボローニャのポルチコは、合計すると世界で一番の長さを誇り、11〜12世紀から現代まで都市としての機能とともに発展してきたものであるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ボローニャのポルチコは、あくまでもアーケードとしての機能が強く、世界遺産委員会としては建築物としての評価というよりも、商人が雨にも濡れずに商売ができるようになるという都市構造のほうに評価されました。
ちなみにボローニャのポルチコがこれだけ綺麗に残ったのは、近代になっても都市の再建計画もなく、第二次世界大戦でも空爆を受けたにもかかわらず、町並みが綺麗に残ったという奇跡的条件によるものでした。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。