登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (4) |
登録年 | 2014年 |
グジャラート州にあるパータンという都市には、11世紀に建造されたラーニー・キ・ヴァーヴと呼ばれる階段井戸があります。古来よりインドでは階段井戸が造られてきましたが、ここのものは500体以上の大きなレリーフが刻まれた寺院のような機能を持つ、階段井戸の中でも傑作として評価されています。
ここでは、グジャラート州パータンのラーニー・キ・ヴァーヴ(王妃の階段井戸)がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ラーニー・キ・ヴァーヴについて詳しくなること間違いなし!
グジャラート州パータンのラーニー・キ・ヴァーヴ(王妃の階段井戸)とは?
インド西部、パキスタンとの国境に接するグジャラート州にあるパータン。サラスワティ川の近くにある井戸は、インドの独特の建築物である階段井戸の中でも傑作として知られます。これは11世紀にグジャラートを支配したチャウルキヤ朝のビーマデーヴァ1世が亡くなった後、王妃が亡き王のために建造したもの。よって、名前も「王妃の階段井戸」と名付けられたのです。
これは井戸という機能だけではなく、水の女神を祀った寺院としての機能を持つように設計されたもの。
井戸は岩山を掘り下げて造られたもので、インドで見られるマル・グルジャラ様式の建造物に含まれています。構造は7層の階段になっており、深さは27m。階段の壁面には、500体以上の大規模なレリーフ、小さなものを含めると1000を超える小さなレリーフが刻まれています。世俗世界にある井戸とレリーフによる神話を結ぶという独特のデザインになっているというのも特徴。
これだけ壮麗な階段井戸だったものの、13世紀以降は川の氾濫によって泥に埋もれてしまいました。1958年から発掘が始まったことから、20世紀後半になってから井戸の本格調査が始まったのです。
グジャラート州パータンのラーニー・キ・ヴァーヴ(王妃の階段井戸)はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ラーニー・キ・ヴァーヴが評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
階段井戸は井戸としての機能はもちろん、神話をモチーフにしたレリーフなど、芸術と建築技術の点で傑作であるという点。
登録基準(iv)
井戸であるのに神殿の側面もあるこの井戸は、インドで広く存在する階段井戸の中でも、非常に優れた例であるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
実は階段井戸という建築物は、インド各地にも残るのですが、その中でもラーニー・キ・ヴァーヴは井戸としての機能はもちろん、美しいレリーフもあるので神殿としても優秀であったという点で評価されています。
階段井戸は「井戸」とはいうものの、その規模は大きく、「溜め池」のような機能もあったり、避暑地だったり、憩いの場であったりと、さまざまな機能を持っているのです。日本の井戸っていうと「貞子」が出てくるタイプの「アレ」のイメージしかないので想像が難しいと思いますが…。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。