登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (3) |
登録年 | 1998年 |
イベリア半島の地中海岸側には、6つの州にまたがって758もの岩絵が点在するというヨーロッパ最大規模の壁画群が世界遺産に登録。これらは紀元前1万〜紀元前3500年(諸説あり)に狩猟採集民により、赤、黒、白などの顔料を使い、人間や動物などが描かれていて、中には狩猟や戦闘を含むダイナミックな構図もあるというのも特徴です。
ここではイベリア半島の地中海沿岸の岩絵がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、これらの岩絵について詳しくなること間違いなし!
イベリア半島の地中海沿岸の岩絵とは?
世界遺産としては、イベリア半島東岸にある、カタルーニャ州、アンダルシア州、バレンシア州、アラゴン州、カスティーリャ・ラ・マンチャ州、ムルシア州の6つの州にまたがっていて、758もの岩絵が登録されています。岩絵は狩猟採集民によって描かれたもので、これらは洞窟壁画ではありますが、洞窟の奥深くではなく、光が差し込むような範囲の距離に描かれている壁画が多いというのが特徴。人物は単純なシルエットではあるものの、赤、黒、白などを使った顔料で描かれていました。
北部の岩絵群は動物の形をした人物が描かれていたり、マエストラスゴとエブロ川下流では、狩猟と戦闘というダイナミックな場面がモチーフになっていたりします。一方、南部のサフォル地方とラ・マリナ地方は狩猟は描かれているものの、戦闘の場面はなく、セグラ川盆地と近隣山岳地帯やアンダルシア東部は動物のほうが多いという傾向に。岩絵からは先史時代の文化や社会などが分かり、現在は絶滅危惧種である動物などが多く描かれているというのもポイント。
イベリア半島の地中海沿岸の岩絵はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
イベリア半島の地中海沿岸の岩絵が評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
スペイン東部の地中海盆地に広がる先史時代の壁画は、ヨーロッパでも最大規模の岩絵群であり、人類の文化が大いに発展した重要な時期における生活が見られるものであるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
イベリア半島の東海岸沿いには700もの岩絵群が点在し、これらはヨーロッパでも最大規模の岩絵群として貴重なもので、岩絵のモチーフからは人類の文明が発展していったという形跡が見られるという点で評価されています。
ちなみに、これらの洞窟壁画の年代は割と新しいもので、ヨーロッパの世界遺産として最も古いのはフランスの「ショーヴェ=ポン・ダルク洞窟」の壁画(約3万2000年前)であり、さらに古いのは6万年前に遡ります。となると、あまり価値はないのでは?…と思うかもしれませんが、質よりも「量」という点で評価されたものなのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。