オーストラリアの世界遺産「ウィランドラ湖群地域」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分複合遺産
登録基準(3), (8)
登録年1981年

オーストラリア南東部の内陸にあるウィランドラ湖は、現在は砂漠ですが、かつては湖があり、4〜5万年前には人が暮らしてしていたとされる、オーストラリア大陸の人類の進化を示す足跡が残る地。ここには現生人類最古の化石「マンゴマン」や当時火葬された女性の骨なども発掘されています。

ここではウィランドラ湖群地域がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ウィランドラ湖群地域について詳しくなること間違いなし!

目次

ウィランドラ湖群地域とは?

ウィランドラ湖群地域
画像素材:shutterstock

ニューサウスウェールズ州の南西部にあるウィンランドラ湖は、現在は半乾燥地帯ですが、約1万8500年前には湖が存在し、ここは更新世(約260万年〜1万年)など、過去10万年間一度も氷期がなかったことから、堆積物や土壌など、その歴史を刻んだ地でもあります。

ここはアフリカ以外で、ホモ・サピエンス・サピエンス(新人)の最古の骨が発掘された地。乾燥湖であるマンゴ湖には、約4万年前の人類化石で、ホモ・サピエンス・サピエンス、つまり、現生人類の最古の化石が発見。これらは4〜5万年前に人類が既にアフリカからオーストラリアまで拡散したことを示しています。ここは4万年前の世界最古の火葬場など、人類最初期の埋葬文化を示すもの。小麦粉や顔料なども発見され、オーストラリア大陸で最も古い人間の定住地の一つでもありました。

ウィランドラ湖群地域はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ウィランドラ湖群地域
画像素材:shutterstock

ウィランドラ湖群地域が評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
約1万8500年前にウィランドラ湖が枯渇したことで、5万年近く前にここで暮らしていたホモ・サピエンス・サピエンスの生活の様子がわかり、ここには世界最古の火葬跡や化石、砥石技術などが発見されているという点。

登録基準(viii)
ウィランドラ湖は枯渇した砂漠地帯でありますが、10万年にわたる気候の変化の足跡を残し、この地は氷河が到達しなかったことにより、地形、気候、生物、考古学などオーストラリア大陸の更新世の様子が見られ、研究において貴重な地であるということ。

世界遺産マニアの結論と感想

「湖」と名が付くものの、現在はほぼ砂漠となっているウィランドラ湖群地域は、オーストラリア大陸最古の人類の定住地であった場所で、10万年間氷河に覆われることがなかったため、化石だけでなく、当時の気候や生物、そして、ここに住んでいた人々の埋葬文化や砥石技術まで、彼らの生活が見られるという点で評価されています。

ちなみに、マンゴマンが発見された1974年ころは、ちょうどアボリジニの権利運動が盛んになっていて、この化石が発見されたことから、原住民である彼らによって「4万年もここに以上も大陸にいる民族」というスローガンが作られました。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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