登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (3) |
登録年 | 1993年 |
メキシコ西部のバハ・カリフォルニア半島中部にあるシエラ・デ・サン・フランシスコ(サンフランシスコ山地)には、紀元前1100年から紀元1300年まで描かれた人間や動物などを含めた400以上もの岩絵が残っています。これらは先住民のコチミ族とグアチミ族が描いたもので、岩絵からは当時の狩猟文化が見られ、太古のメキシコの芸術を今に伝えるもの。
ここではシエラ・デ・サン・フランシスコの岩絵群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、シエラ・デ・サン・フランシスコの岩絵群について詳しくなること間違いなし!
シエラ・デ・サン・フランシスコの岩絵群とは?
メキシコ西部のバハ・カリフォルニア・スル州にあるシエラ・デ・サン・フランシスコの中でも岩絵が集中しているエリアで、ここは半島にある乾燥地帯のため、比較的隔離された状態で長らく保たれました。これらは18世紀にイエズス会士フランシスコ・ハビエルによって最初に発見され、イタリアのローマで発表されたもの。
確認されているだけでも400以上の壁画が発見されていて、火山岩を顔料にして、赤、黒、城、黄色などでカラフルに描かれていて、ピューマ、鹿、クジラ、武器を持った人間、魔術的な信仰を表したもの。その規模は世界最大の先史時代の岩絵群で、中には2mも越える人物が描かれていて、巨人が描いたという伝説が残るほど。これらは更新世(260万年〜1万年前)の後期からここに住んでいた先住民のコチミ族とグアチミ族が紀元前1100年から紀元1300年までに描いたもの。岩絵は狩猟採集の文化を表現しており、その正確さや構図、独特の輪郭など、この地に高度な文化があったことを示しています。
シエラ・デ・サン・フランシスコの岩絵群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
シエラ・デ・サン・フランシスコの岩絵群が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
バハ・カリフォルニア半島のシエラ・デ・サン・フランシスコの岩絵群は、世界でも優れた先史時代の芸術が収集するエリアの一つで、人類の文化的表現の最高峰であるという点。
登録基準(iii)
シエラ・デ・サン・フランシスコの岩絵群は、バハ・カリフォルニア半島の厳しい気候の中で強大な人類の文明を証明するもので、ヨーロッパからの入植者と接触した後、急速に消滅していったということ。
世界遺産マニアの結論と感想
現在のバハ・カリフォルニア半島は非常に乾燥したエリアで、ここには先史時代に優れた岩絵が描かれ、当時の芸術が見られる地で、現在は消滅してしまったヨーロッパ人入植前の文化を知るのに大変貴重であるという点で評価されています。
ちなみに、バハ・カリフォルニア半島のすぐそばには、自然遺産の「エル・ビスカイノ生物圏保護区」もあり、山と海それぞれに世界遺産があるという自然豊かなエリアで人口もそれほど多くありません。現在は細長い半島ということが分かっていますが、スペイン人の入植後しばらくここは島だと思っていて、それは17世紀後半に地図製作者が確認するまでは、どの地図にも島として描かれていまいた。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。