オーストラリアの世界遺産「タスマニア原生地域」とは?タスマニアデビルが暮らす島を世界遺産マニアが解説

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登録区分複合遺産
登録基準(3), (4), (6), (7), (8), (9), (10)
登録年1982年(1989年拡張)

オーストラリア大陸南東部の先に浮かぶタスマニア島。世界遺産としては、島の南西部のクレイドル山=セント・クレア湖国立公園など、氷河地形を中心に登録。かつてはオーストラリアと陸続きだった時期も長く、島にはかつてタスマニア・アボリジニが暮らしていて、ステンシル技術を利用した壁画など独自の文化を築いていたという名残が残ります。

ここではタスマニア原生地域がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、タスマニア原生地域について詳しくなること間違いなし!

目次

タスマニア原生地域とは?島はタスマニアデビルが暮らすことで有名

タスマニア島はどこにある?珍しい動物が多く見られる島

タスマニア原生地域
画像素材:shutterstock

オーストラリア本土の南に浮かぶタスマニア島は、全体がタスマニア州という行政単位になっていて、面積としては北海道よりもやや小さい程度ではあるものの、ここは太古の植物や独自の進化をした動物などが見られます。

世界遺産に登録されているのは島の南西側で、面積としては約1万5800kmと広大なエリア。ここは氷河地形となっていて、クレイドル山=セント・クレア湖国立公園内では氷河が作用した大地が見られます。そして、セント・クレア湖は水深約167mでオーストラリアで最も深い湖として有名。

自然遺産

カモノハシ/タスマニア原生地域
画像素材:shutterstock

約1万2000年前にタスマニア島がオーストラリア本土から完全に離れたということもあり、哺乳類は競合する種もいなくなり、単孔類という原始的な哺乳類が独自角進化を遂げました。これはカモノハシに代表され、くちばしを持ち、卵から孵化するのにも関わらず、子供は母親の乳を飲んで育つという独特の種。

そして、最も有名な動物といえば、タスマニアデビル。かつてはオーストラリア南部に生息していたものの、島という環境もあり、大陸にいた種は絶滅しましたが、この島では生き残ることができました。特にタスマニアデビルは、最大の肉食性有袋類として有名。しかし、「デビル顔面腫瘍疾患」という伝染病によって激減していて、現在は絶滅危惧種にも登録されています。

文化遺産

ステンシル/タスマニア原生地域
画像素材:shutterstock

もともとは大陸とは陸続きとなっていたと考えられていて、先住民族であるタスマニア・アボリジニが19世紀までここに住んでいました。それまで彼らは狩猟生活を行っていて、英国人がこの地に入植し始めると枯れた土地に追いやられた上に、中には収容施設に送られ、伝染病にかかったりと、純血のタスマニア・アボリジニは激減。1876年には最後の一人が亡くなったため、純血は全員死去したとされています。

島には1万年以上前にタスマニア・アボリジニによって、ステンシル技法を利用した描かれた壁画が残っています。ステンシルは図柄などの上から塗料を塗り込んだもの。ほとんどが宗教的なテーマで描かれていました。

タスマニア原生地域はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

タスマニアデビル/タスマニア原生地域
画像素材:shutterstock

タスマニア原生地域が評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
洞窟で発見された壁画などは、タスマニア・アボリジニが存在していたことを証明するということ。

登録基準(iv)
タスマニア・アボリジニによる壁画はステンシル技法を採用されていて、高い技術力を持っていたという点。

登録基準(vi)
島には、宗教的テーマで描かれた壁画や、カンガルーの骨を使った石器などが発見され、英国人が入植する前のアボリジニの暮らしが見られる貴重な遺跡が残るということ。

登録基準(vii)
タスマニア原生地域は氷河作用によって形成された地形で、島の温帯雨林は世界でも温帯雨林が最後に拡大した地であったという点。

登録基準(viii)
かつては地球に存在してた超大陸であるゴンドワナ大陸の一部が、オーストリア本土であったという名残が見られるということ。

登録基準(ix)
オーストリア大陸から分かれたことにより、単孔類という原始的な哺乳類などが独自に進化したという点。

登録基準(x)
近年数を減らしている絶滅危惧種のタスマニアデビルが生息しているという点。

世界遺産マニアの結論と感想

タスマニア島は自然遺産のイメージではありますが、純血が絶えてしまったタスマニア・アボリジニの壁画が残ることから文化遺産としての側面もあるため、複合遺産となっているのです。そして、かつてはゴンドワナ大陸の一つであり、オーストリア本土と離れたことから、哺乳類が独自の進化を遂げ、貴重なカモノハシや絶滅危惧種のタスマニアデビルなどが生息しているという点で評価。

島は絶滅危惧種も見られますが、実際に絶滅してしまった動物の中でもフクロオオカミ(タスマニアタイガー)という袋を持つユニークなオオカミが存在していたことでも知られています。幻獣のような珍しい動物が、今ではほとんど絶滅してしまったので大変残念ですね。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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