ハンガリーの世界遺産「トカイのワイン産地の歴史的・文化的景観」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(3), (5)
登録年2002年

ハンガリー北東部のトカイ地方は、世界三大貴腐ワインの一つであるアスーワイン(トカイワイン)の産地。その味はフランスのルイ14世が「ワインの王」と称したとされるほどで、ここにはブドウ畑、農場、村落、ワインセラーなど、1000年に渡るワイン生産の伝統を現在に残しています。

ここではトカイのワイン産地の歴史的・文化的景観がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、トカイのワイン産地について詳しくなること間違いなし!

目次

トカイのワイン産地の歴史的・文化的景観とは?

トカイのワイン産地の歴史的・文化的景観
画像素材:shutterstock

ハンガリー北東部のティサ川流域のトカイ地方。ここは「貴腐ワイン」と呼ばれる、ボトリティス菌によって糖度が高まったブドウで作られた甘いワインの発祥の地でもあります。トカイで作られるものはアスーワインと呼ばれ、フランス国王ルイ14世が「ワインの王」と絶賛したというほどに品質が高く、標高250mの丘陵地帯に残る27もの集落が登録され、ブドウ畑や農場、ワインセラーなど、1000年以上に渡って現在もワイン生産の伝統が残っています。

この地域でワイン作りが始まった時期ははっきりと分かっていませんが、16世紀には既に貴腐ブドウの文書の記載があり、17世紀になると名産品となり、この地域の経済を支える商品となっていました。トカイ地方の土壌は火山性の粘土質や黄土であり、ボトリティス菌が十分に培養される気候であることから、ブドウ畑とワインの製造においては最適であるのが特徴。地下貯蔵室も湿度が保たれるため、貴腐ワインの熟成にも理想の環境でもありました。ここはワインの名声とともに、住民の文化の多様性も合わせて文化的景観が見られます。

トカイのワイン産地の歴史的・文化的景観はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

トカイのワイン産地の歴史的・文化的景観
画像素材:shutterstock

トカイのワイン産地が評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
トカイのワイン産地は、1000年に渡り、現在に至るまで独自のブドウ栽培の伝統を残しているという点。

登録基準(v)
ブドウ畑と古くから存在する集落で構成されるトカイのワイン産地は、伝統的な土地利用を示しているということ。

世界遺産マニアの結論と感想

トカイ地方は、年代ははっきりしないものの、1000年以上に渡ってワインの栽培がされていて、土壌や気候、貯蔵庫など、アスーワイン造りにおいては理想的であり、伝統的な土地利用が見られるという点で評価されています。

ちなみに、貴腐ワインのオリジナルはハンガリーですが、その黄金に輝くワインは、マリー・アントワネットの母であり、オーストリアの女王マリア・テレジアが貴腐ワインに金が入っていると疑い、学者に分析させたという逸話があるほどで、17世紀には既に各国の王侯貴族に愛されていた様子。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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