キューバの世界遺産「トリニダとロス・インヘニオス渓谷」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(4), (5)
登録年1988年

キューバ中央部にある小さな町トリニダは16世紀初頭に設立。町は砂糖産業で財を成し、豪華なコロニアル様式の町並みが現在も残っています。郊外のロス・インヘニオス渓谷に広がるサトウキビ畑の関連施設は、かつての繁栄を偲ばせるもの。

ここでは、トリニダとロス・インヘニオス渓谷がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、トリニダとロス・インヘニオス渓谷について詳しくなること間違いなし!

目次

トリニダとロス・インヘニオス渓谷とは?

トリニダ
画像素材:shutterstock

トリニダはキューバ中央部にあるサンクティ・スピリトゥス州の小さな町。16世紀初頭に建設されたトリニダは砂糖産業で栄え、町の北東に位置するロス・インヘニオス渓谷(砂糖の渓谷という意味)では黒人奴隷たちによってサトウキビ栽培が行われていました。ここには、閉鎖されたサトウキビ工場や農園主の邸宅など、砂糖産業の発展が見られます。

トリニダ

トリニダ
画像素材:shutterstock

18世紀初頭に築かれたコロニアル様式と19世紀に築かれた新古典主義の壮麗な建築物が残る町並み。旧市街には、かつての農園主や富裕層の邸宅が並ぶマヨール広場があります。特に有名なのが農園主ブルネートの邸宅(現・ロマン主義博物館)と砂糖王であったカンテロの邸宅(現・市立歴史博物館)。どちらもカラフルな外観で、当時としては豪華な設備が揃う邸宅でした。

ロス・インヘニオス渓谷

ロス・インヘニオス渓谷
画像素材:shutterstock

トリニダから北東12kmに位置する渓谷で、広さは約225km。渓谷にはかつての製糖工場が点在していて、19世紀まで多くの黒人奴隷がここで働いていました。ここは砂糖のプランテーションを始め、農園主の邸宅、高さ40mの監視塔「イスナガの塔」などが残っています。しかし、1820年に奴隷制が廃止すると、19世紀末までに砂糖工場はほぼ閉鎖。現在の製糖工場は遺跡として保存されています。

トリニダとロス・インヘニオス渓谷はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

トリニダ
画像素材:shutterstock

トリニダとロス・インヘニオス渓谷が評価されたのが、以下の点。

登録基準(iv)
18〜19世紀に砂糖産業で栄えたトリニダとロス・インヘニオス渓谷は、砂糖の恩恵により都市が発展したということが分かるという点。

登録基準(v)
ロス・インヘニオス渓谷は、かつての製糖工場や作業小屋など関連施設が残り、このエリアの砂糖産業の発展を示す証拠であるということ。

世界遺産マニアの結論と感想

この世界遺産のテーマは砂糖産業であって、それによって都市の建造物や、郊外の工場、小屋、農園主の邸宅などが作り出されたのです。

しかし、かつての主力産業であった砂糖産業は衰退して、今はタバコの加工業がメイン。皮肉にも砂糖で栄えた町並みが今となっては観光名所となり、多くの観光客が訪れ、ここに住む人々の暮らしを支えているのです。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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