登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (4) |
登録年 | 1994年 |
ドイツ南部、フランスとの国境近くにあるフェルクリンゲンには、約6万平方mの敷地を誇る製鉄所がありました。製鉄所は1873年に完成すると、当時の宰相ビスマルクによる富国強兵策もあり、1日約1000tもの銑鉄を生産したというほど。ここはヨーロッパや北米で19〜20世紀まで稼働した製鉄所の中でも、ほぼ無傷のまま残るという点で貴重なもの。
ここではフェルクリンゲン製鉄所がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、フェルクリンゲン製鉄所について詳しくなること間違いなし!
フェルクリンゲン製鉄所とは?
ドイツ西部のザールラント州のフェルクリンゲンの郊外には、かつてドイツの工業の発展を担った製鉄所跡があります。ここは1873年に開業し、1905〜1914年には6基の大型溶鉱炉が加えられ、宰相ビスマルクによる富国強兵策もあり、最盛期は1日約1000tもの銑鉄を生産したというほど。一方、1935年の再建後は新しい設備が追加されなかったため、炭鉱自体は1986年に閉鎖したものの、1930年代の製鉄所の外観のまま現在も見られます。
ここは石炭や鉄鉱石の原材料の投入・処理から銑鉄の生産までのプロセスをすべてカバーする設備があり、1900年代にはガス送風装置、1928年には連続焼結装置などが追加されるなど、新しい技術も見られ、これらは後に世界各地の工場にも採用されるという先駆的な存在でもありました。現在は産業記念建造物として残され、博物館として運営されています。
フェルクリンゲン製鉄所はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
フェルクリンゲン製鉄所が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
フェルクリンゲン製鉄所は、製鉄の生産における技術革新が見られ、ここで開発・運用された技術は現在では世界で広く使用されているという点。
登録基準(iv)
フェルクリンゲン製鉄所は、19世紀〜20世紀初頭において世界でも最高レベルの総合的な銑鉄の生産工場の傑出した例であったということ。
世界遺産マニアの結論と感想
フェルクリンゲン製鉄所は、銑鉄の生産においては19世紀から20世紀初頭まで世界でもトップクラスの技術を持ち、ここで開発・適用された技術が世界の工場で導入されているという点で評価されています。
ちなみに、第二次世界大戦中はドイツ各地で激しい爆撃を受けたなか、なぜかここだけ無傷のまま生き残ったことから「フェルクリンゲンの奇跡」と呼ばれます。しかし、理由は今でもわからず、さまざまな説はあるものの、ハッキリとはしていません。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。