登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (2), (3), (4) |
登録年 | 2001年 |
雲崗石窟は、内モンゴル自治区の近くにある巨大な石窟群です。5〜6世紀にかけて、約1kmに渡って無数の洞窟があり、5万を超える仏像が掘られたという壮大なスケールの石窟。ここは中国初期の仏教美術が見られる場所として知られています。
ここでは、雲崗石窟がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、雲崗石窟について詳しくなること間違いなし!
雲崗石窟とは?世界史的にも需要な場所
山西省大同市から西方20kmに位置するのが雲崗石窟。ここには、約1kmにわたって約51窟の石窟が並ぶという広大なもの。もともとは、4〜6世紀に中国北部で栄えた王朝・北魏の4代目皇帝・文成帝(在位:452〜465年)が仏僧・曇曜(どんよう)に命じて造られた5つの巨大な石仏が始まり。
ちなみにこの石仏は5人の北魏の皇帝を模していて「曇曜五窟」と呼ばれるもの。特に20窟の如意坐像は雲崗石窟を代表するもので、これは北魏の初代皇帝・道武帝の姿を模したとされています。
最初期の石仏は、中央アジアのガンダーラ美術や南アジアのグプタ様式などの影響が見られますが、徐々に中国独自の質素で素朴なスタイルへと変化していきます。その後、石窟と仏像は造られ続けたものの、494年に洛陽へ遷都すると終息へと向かいました。遷都後、石窟の存在は忘れ去られますが、20世紀初頭に建築家の伊東忠太によって発見。雲崗石窟は、東アジアの仏教美術の原点的な場所として広範囲に渡って影響を与えたという点で重要です。
雲崗石窟はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
雲崗石窟が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
雲崗石窟は中国初期の仏教石窟の傑作であるという点。
登録基準(ii)
雲崗石窟は、中央アジアや南アジアの仏教美術と中国文化が融合したものであるということ。
登録基準(iii)
中国における仏教信仰の拡大が、雲崗石窟で見られるという点。
登録基準(iv)
仏教石窟は、雲崗石窟の建造によって大きく発展していったということ。
世界遺産マニアの結論と感想
雲崗石窟は、南アジアで生まれた仏教が中央アジアを通って中国に伝わっていき、それが中国独自の文化と融合して、仏教石窟に大きな影響が与えたという点で評価されています。
ちなみに、北魏の石窟造形はここで終わった後ではなく、洛陽に遷都した後は近くにある龍門でまた始まり、ここも世界遺産に登録されています。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。