マリー・アントワネットは本当に「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」と言ったの?世界遺産マニアが解説

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マリー・アントワネット(1755〜1793年)といえば『ベルサイユのばら』でおなじみで、フランス革命後処刑された悲劇の王妃として有名ですよね。彼女の名言「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」は有名ですが…本当に彼女はこんなことを言ったのでしょうか?

今回はマリー・アントワネットの名言の真意を世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、マリー・アントワネットのセリフとフランス革命の背景について具体的に理解できること間違いなし!

目次

アントワネットの名言 「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」の由来は?

ジャン=ジャック・ルソーの彫像
画像素材:shutterstock

「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」という言葉が初めて登場するのは、哲学者ジャン=ジャック・ルソーの自伝『告白』とされています。しかし、これはマリー・アントワネットだと、はっきりとは書かれておらず、むしろ「あるたいへんに身分の高い女性」の言葉であり、しかも1765年に公開されたものであることから、この時点でマリー・アントワネットは幼少期であり、ウィーンに滞在していた時期でもあり、明らかに彼女のセリフとするのは無理があります。

そして、原文では「それならブリオシュ(パン菓子)を食べるがいい(Qu’ils mangent de la brioche)」となっていて、飢饉で貧した農民たちに向けて言ったセリフであることから、実は革命とも関係ありません。しかし、この言葉がマリー・アントワネットのセリフとして扱われたのは、1843年のフランスの雑誌。その頃には彼女はとっくに亡くなっていたので、マリー・アントワネットがこの発言をした証拠は一切見つかっていないのです。

なぜマリー・アントワネットのものとされたのか?

マリー・アントワネットの人形
画像素材:shutterstock

フランス革命の際は特にこのような悪口は広まっていなかったものの、1843年頃にはすでに広くアントワネットの発言として捉えられていたようで、これはなぜか現在のフランスでも勘違いされたまま。つまり、彼女が革命の原因の一端を担っているかのように考えられるようになったのです。…その理由はハッキリとはしていません。

かつてハプスブルク家が領地としていたイタリアのトスカーナ公国では公爵夫人がこのような発言をしたというエピソードがあります。とはいえ、実際は公爵夫人は領民に対して非常に優しい夫人であり、彼女を妬んだ貴族たちによるものとされていてどちらにせよ、これも事実ではないそう。確かに、マリー・アントワネットはハプスブルク家出身なので、その流れなのかもしれませんが…これもどちらにせよ、根拠はありません。

世界遺産マニアの結論と感想

「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」というセリフは、あくまでもマリー・アントワネットに対する誤解と、彼女のマイナスイメージを作るための産物であるとハッキリとは言えます。とはいえ、この言葉が象徴するのは、貴族と庶民の深刻な格差、そして革命前のフランス社会における王政への不満を見事に表していたもので、ある意味「見事にハマった名言」だった…と考えられるでしょう。

とはえい、実際にはマリー・アントワネットはこのような発言をした証拠はなく、この言葉は後世の歴史家や革命家たちによって創作されたものであることは確かですし、王妃の名誉を傷つけている…とも考えられるので、これを読んでいる皆さんは誰かがこのように発言したら否定してあげてくださいね!

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1200以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定マイスター認定済。

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