東北の中でも最大の面積で、全国でも北海道に次いで2位という広大な面積を持つのが岩手県。この地は縄文時代から集落があり、縄文遺跡や奥州藤原氏の本拠地・平泉、幕末に開発された日本最古の洋式高炉跡など、さまざまな遺産がありますが、世界遺産はいくつあるでしょうか?
ここでは、岩手県の世界遺産を世界遺産マニアが一覧にして分かりやすく解説。それぞれの遺産を簡潔に解説していきましょう。
平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―
中尊寺/平泉町
平泉町の北部にある中尊寺は、奥州藤原氏の初代、藤原清衡が平泉を造営する際に建立した寺院です。1124年に建築された、金色に光る金色堂があることで有名。ここは方三間という阿弥陀如来の仏国土(浄上)を表す仏教建築で作られています。ちなみに「阿弥陀堂建築」の中でも国内最古の寺院。
金色堂は、中央壇と右壇、左壇共に阿弥陀三尊像を中心に、合計11体の仏像から構成されています。どれも金箔が貼られており、豪華絢爛な姿はまさに極楽浄土を表すもの。ちなみに仏堂ではありますが、堂内の須弥壇には、藤原四代のご遺体(ミイラ)が納められています。中央壇にある棺が藤原清衡で、その横に息子の基衡、孫の秀衡の棺があり、さらにひ孫の秦衡の首級が置かれていました。
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毛越寺/平泉町
平泉町の寺院の中でも南西部に位置する寺院。ここは2代の基衡が造営した寺院跡で、中尊寺は原型が残っているのに対し、ここは度重なる災禍によるほとんどの建築物が残っていません。しかし、かつては40以上の堂宇(屋根を持つ建物)と500を超える禅坊があったとされるほど、広大な寺院でした。
浄土庭園は何も残っていないといっても過言ではないのですが、遣水という池に水を引き入れる水路が残っており、平安時代のものとしては日本最大級。
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観自在王院/平泉町
2代の基衡の妻によって建立された寺院跡。毛越寺の隣にあり、阿弥陀堂が点在していた庭園は、背後にある金鶏山と一体になっていて、浄土を表す庭園でした。
しかし、1573年に伽藍は消失。現在は建築物はほぼ残っておらず、公園のようになっています。池があった位置だけは現在でも判明しているので、当時の区画が少し分かる程度。
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無量光院/平泉町
平泉駅の北側にあり、ここには12世紀に3代目の秀衡が建築した、宇治の平等院阿弥陀堂(鳳風堂)をモデルにした立派な阿弥陀堂があったとされます。奥州市の「えさし藤原の郷」に再現された無量光院もあるのですが、おそらく本堂の規模は宇治の鳳凰堂と同じ大きさであったと推定。建物の西側に金鶏山があり、夕方になると夕日が本堂の背後に沈んでいくような設計になっていました。
現在は阿弥陀堂は残っておらず、遺構から位置が分かる程度。ただ現在でも金鶏山の山頂に沈む夕日が見られるので、当時の秀衡が見た風景を今でも眺めることが可能です。
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金鶏山/平泉町
北の中尊寺と南の毛越寺の間に位置する金鶏山は、標高98.6mの小さな山ですが、実は平泉にとっては重要な役割を担っていたもの。平泉に建造された寺院は常に、この金鶏山との位置関係が重視されました。各寺院で建造された庭園では、浄土を空間に表すという設計であったため、金鶏山を景観に必ず入るようにしていたのです。
ちなみに、金慶安の登山口の入口には、千手堂という小さなお堂があり、ここに源義経の妻子のものと伝えられる墓があります。義経の妻といっても有名な静御前ではなく、こちらは正妻の郷御前。
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明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業
橋野高炉跡/釜石市
「橋野高炉跡」は岩手県の南東部に位置する釜石市の高炉跡。ここは日本で初めて洋式高炉を建造した盛岡藩氏・大島高任によって1858年に建造されたもの。高炉は1894年まで操業していて、その後は国の史跡として保存されたため、日本に残る最古の洋式高炉跡となりました。
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北海道・北東北の縄文遺跡群
御所野遺跡(ごしょのいせき)/一戸町
二戸郡一戸町にある縄文時代中期の遺跡で、河岸段丘の上に建造された集落跡。ここは馬渕川の右岸に位置し、住民は川を遡上するサケやマスを食料としていました。周囲は栗やドングリ、アケビなどの木が広がる森となっています。
集落は川沿いの丘の上に築かれ、配石遺構を中心に500もの建造物が並んでいたとされています。
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世界遺産マニアの結論と感想
岩手の世界遺産としては3件ではありますが、構成資産として数えると7箇所も登録されています。平泉は岩手を代表する観光地ではあり、さらに縄文遺跡から明治時代の高炉まで幅広いジャンルの遺産があるのが魅力です!ぜひディープに楽しんでくださいね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。