セルビアはバルカン半島の中央部に位置していて、かつてはユーゴスラビアの中心となる国家でもありました。ローマ帝国の都市遺跡から、かつてこの地に存在してたセルビア王国時代から残る修道院など、さまざまな遺産がありますが、世界遺産はいくつあるでしょうか?
ここでは、セルビアの世界遺産を世界遺産マニアが一覧にして分かりやすく解説。それぞれの遺産を簡潔に解説していきましょう。
スタリ・ラスとソポチャニ
セルビア南西部にある都市ノヴィ・パザルの郊外にはセルビア王国(1171〜1346年)の最初の首都であったスタリ・ラスの都市遺跡があります。ここは城壁で囲まれていて、内壁には王宮や聖堂などが存在していましたが、13世紀には居住地が放棄されると、その後は荒廃し、現在は遺構のみが残っています。
その近くにあるソポチャニの修道院は13世紀に建造され、フレスコ画の『生神女の就寝』で有名で、西欧と東欧の融合が見られるもの。さらにノヴィ・パザルの近くにはセルビア最古の教会である聖ペテロ教会もあり、この地は文化の中心地でもありました。
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ストゥデニツァ修道院
セルビア中央部のラシュカ郡にあるストゥデニツァ修道院は、12世紀後半に中世セルビア王国の創設者であるステファン・ネマニャによってストゥデニカ川の近くに設立されました。そして、彼自身もここで眠っています。そして、ステファン・ネマニャの息子である聖サヴァが1219年にここでセルビア正教会の教会を設立しました。ここはセルビア正教会の修道院としては最大級のもの。
敷地内には、生神女聖堂と王の聖堂という2つの聖堂があり、13〜14世紀のビザンチン様式の見事なフレスコ画で知られています。
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コソボの中世建造物群
コソボ共和国は2008年にセルビアから独立宣言をした世界的には新しい国家でもあります。その領土にある4つの教会と修道院は、2004・2006年にセルビア領土の一部、コソボ・メトヒヤ自治州だった時代に、世界遺産として登録。
世界遺産に登録されている建造物は、セルビア王国(1171〜1346年)時代に建造され、その中でも「デチャニ修道院」は、セルビア正教会において最大の規模の修道院で、代表的なもの。
※コソボは世界遺産条約未締約であり、世界遺産センターではセルビアの世界遺産に分類しているため、ここでは「セルビアの世界遺産」として扱っています
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ガレリウスの宮殿ガムジグラード=ロムリアーナ
ブルガリアの国境に近いザイェチャル市に残るガムジグラード。現在は小さな村ですが、郊外にはローマ皇帝ガレリウス(260〜311年)が3世紀後半から4世紀初頭にかけて彼の母ロムラのために建造された都市遺跡が残っています。
ここは彼の母ロムラのために建造された街で、都市名も彼女の名から「ロムリアーナ」と呼ばれていました。彼が引退後に過ごした宮殿跡を中心に要塞や教会、浴槽施設、寺院、記念碑などの遺構が残り、すべての床面がモザイクで装飾されているのが特徴。
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中世墓碑ステチュツィの墓所群(ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、クロアチア、モンテネグロと共同)
ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、クロアチアには中世の墓碑であるステチュティが点在し、これらは合計で7万を越え、12世紀後半から16世紀にかけて建造されたもの。
中世にこの地域はボスニア王国(1377〜1463年)によって支配されていて、当時のローマ・カトリックや東方正教会から異端とされていたボスニア教会に属する地域が多かったという点で、墓碑には独特の文化が見られます。
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世界遺産マニアの結論と感想
セルビアの世界遺産としては4件ではありますが、構成資産として数えると5箇所も登録されています。ローマ遺跡から正教会の修道院まで幅広いジャンルの遺産があるのが魅力です!ぜひディープに楽しんでくださいね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。