三重県にある伊勢神宮は、皇室の氏神である天照大御神を祀る神社で世界遺産に登録されていると思いきや…実は世界遺産じゃないんです。これだけ有名な観光地なのになぜ?
ここでは伊勢神宮が、なぜ世界遺産でないのか?世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、伊勢神宮について詳しくなること間違いなし!
伊勢神宮とは?
三重県伊勢市にある神社であり、正式名称は「神宮」であるものの、他の神宮と区別するために伊勢神宮と呼ばれています。創建は、神話によると第10代崇神天皇の治世だとされますが、諸説あるものの、考古学的には5世紀後半には既に成立していたとされるのが有力。
ここは古来から最高の特別格の宮であり、神社本庁の本宗でもあります。平安時代には皇族や貴族などが訪れていましたが、中世の戦乱の時代は衰退する一方、江戸時代になると「お伊勢参り」が庶民の間で流行して「お伊勢さん」と呼ばれるように。明治維新後は、全国神社の頂点の神社として位置付けられました。
伊勢神宮はなぜ世界遺産として登録されないの?
伊勢神宮は観光客に人気のあるスポットではありますが、世界遺産としては登録されていません。これはなぜでしょうか?
実は世界遺産に登録させるには、世界遺産条約の締約国の政府が世界遺産センター(世界遺産委員会事務局)の協力を受けながら世界遺産候補である「暫定リスト」を作成する必要があるのです。つまり、暫定リストに掲載されていない遺産は、世界遺産に推薦することはできません。
日本政府から推薦されていない理由ですが、伊勢神宮では「神宮式年遷宮(じんぐうしきねんせんぐう)」が行われているという点。これは原則として20年ごとに、正殿や別宮などすべての社殿を造り替えて、神座を移すというもの。
そうなると、世界遺産の登録基準にある「真正性」や「完全性」に当てはまらないため「顕著な普遍的価値(OUV)」があるとは見なされないというのが専門家たちの観点。とはいえ、登録基準(vi)の「人類史上に残る出来事や現存する伝統、思想、信仰、芸術」として進めるという可能性もありますが、これは原爆ドームなどの負の遺産が多く、現在の基準ではなかなか難しい傾向にあります。
世界遺産マニアの結論と感想
残念ながら伊勢神宮は世界遺産ではありませんが…しかし、それは現段階の話。例えば、既に世界遺産に登録されている「紀伊山地の霊場と参詣道」では、伊勢神宮から熊野三山までの参詣道である「伊勢路」は登録されているので、拡大登録だって可能ではあります。
しかし、この「遷宮」こそが1300年に渡って行われていたという伝統が登録基準とマッチしないという事実があるので、なかなか難しいところ。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。