登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (4), (6) |
登録年 | 2001年 |
ケニア南東部の海岸沿いに位置するラム旧市街は、700年以上に渡ってスワヒリ文化が見られ、サンゴ石とマングローブの木材を使用した伝統的な町並みが続きます。ここは東アフリカの土着の文化と、インド洋交易で繁栄したことからイスラムの文化が交わる独特な建築物が点在。
ここではラム旧市街がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ラム旧市街について詳しくなること間違いなし!
ラム旧市街とは?
首都ナイロビから東に約450km。インド洋沿いに浮かぶラム島の東部には街が広がり、ここは12世紀からインド洋交易で繁栄した都市。かつて東アフリカの海岸には、インド洋を通じて、黄金や象牙、奴隷を目的に、中国やインド、アラブ圏などから商人が集まり、さまざまな文化が交差するエリアでした。その背景もあり、アラブ系商人と土着の文化が混ざって「スワヒリ語」として現在でも残るほどに、この地域独自の文化へと発展。東アフリカには、似たような街が多く点在していたものの、ほとんど放棄されましたが、ラムには700年以上に渡ってその街並みが保存されています。
旧市街には、サンゴ石とマングローブの木材を使用した独特の建造物が並んでいて、これはスワヒリ圏の建築技術が見られるもの。土着の東アフリカの文化とイスラム商人による文化が融合して、迷路のような通路が続く旧市街には中国の陶磁器が壁に埋め込まれた建造物まで残っています。
ここはインド洋を通じてイスラム教が持ち込まれ、19世紀にはイエメン出身のハビブ・サリーという指導者と弟子たちによってモスクが建造されると、東アフリカにおけるイスラムの聖地となりました。今でも旧市街にあるリヤダ・モスクにはマウリディ祭の時期(始祖ムハンマドの誕生月の最終日週に開催されるお祭り)には、多くの巡礼者が集ります。
ラム旧市街はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ラム旧市街が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
ラム旧市街は、インド洋を通じて、ヨーロッパやアラブ、インドから数百年に渡って文化交流が行われ、伝統的な文化を組み合わせて独特の文化を生み出したという点。
登録基準(iv)
ラム旧市街には、東アフリカ沿岸の港湾都市の発展と衰退、そして、土着の文化にヨーロッパ、アラブ、インドから訪れた人々との交流により、文化と経済の発展が見られるということ。
登録基準(vi)
インド交易で繁栄したラムは、東アフリカ最大のイスラム教の聖地であり、イスラム教とスワヒリ文化の教育の中心であるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ラムの旧市街の建造物は、インド洋交易で繁栄した港町であったため、土着の文化にヨーロッパ、アジア、アラブ圏から商人を通じて文化が入り混じり、独特の町並みが見られるという点で評価されています。ここはイスラム教の聖地としての側面もあり、今でも多くの巡礼者が訪れるというにもポイント。
ちなみに、スワヒリ語は国際語であり、おもに土着のバントゥー系の現とアラビア語が入り混じったもので、民族としての「スワヒリ人」は存在していないのです。ただ「スワヒリ語を話す人」ということで、スワヒリ人といったニュアンスの言葉はあるのですが。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。