登録区分 | 自然遺産 危機遺産1994年〜 |
登録基準 | (7), (8), (10) |
登録年 | 1979年 |
コンゴ民主共和国の北東部にあり、ここは標高5000mを越える山岳地帯からサバンナまでさまざな地形が見られ、絶滅危惧種であるゴリラを保護するために建造された国立公園。エドワード湖には絶滅危惧種のカバが2万頭も生息することで有名です。ここは隣国のルワンダの内戦や密猟によってゴリラやカバが減少しているために危機遺産にも登録。
ここではヴィルンガ国立公園がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ヴィルンガ国立公園について詳しくなること間違いなし!
ヴィルンガ国立公園とは?
コンゴ民主共和国の北東部の北キヴ州にあるヴィルンガ国立公園は、赤道直下の山岳地帯に位置する広大な公園。北部は最高峰5109mのルウェンゾリ山地があり、南部は最高峰4507mのヴィルンガ山地があるという壮大な景観が広がり、ここには氷河、火山、森林、スタップ、サバンナ、平原、湿地帯など、さまざまな地形が見られます。1925年にこのエリアに生息するマウンテンゴリラを保護するためにヴィルンガ山地の一部が国立公園となったというほどに歴史が古い公園。
ここは「ジョンバ・サンクチュアリ」と呼ばれるゴリラの聖地もあり、世界のマウンテンゴリラの半数が生息するというほど。ウガンダとの国境にあるエドワード湖には絶滅危惧種のカバが多く生息することでも有名。
危機遺産(危機にさらされている世界遺産)
隣国のルワンダの内戦により、難民がこの地に多く流入し、自然環境が破壊されつつあり、さらに密猟も重なり、カバが多く殺害されたとされています。そして、マウンテンゴリラも同じく犠牲になっていて、1994年には危機遺産に登録。
ヴィルンガ国立公園はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ヴィルンガ国立公園が評価されたのが、以下の点。
登録基準(vii)
ヴィルンガ国立公園は、雪に覆われたルウェンゾリ山、高山植物も見られるヴィルンガ山地、シンダとイシャンゴの浸食された渓谷、密林といった景観が広がり、敷地内はアフリカゾウ、アフリカバッファローなどが見られ、アフリカでも最もカバが多く生息する地でもあるという点。
登録基準(viii)
ヴィルンガ国立公園は、アフリカの大地溝帯に族していて、ヴィルンガ山地には8つの火山で構成され、アフリカで最も活動的なニーラゴンゴ山とニアムラギラ山があります。この2つの火山でアフリカ大陸の火山噴火の3分の2を占め、溶岩湖を持ち、アルカリ性の溶岩の流動が見られ、噴火すると周囲の環境を破壊するほど。ルウェンゾリ山地はアフリカ最大の氷河地帯で、ウガンダ側の世界遺産「ルウェンゾリ山地国立公園」とも接していて最高峰の標高5109mのスタンリー山群も含まれているということ。
登録基準(x)
ヴィルンガ国立公園は、生物多様性という点ではアフリカでもトップクラスで、2000を超える植物種が見られ、その内の10%が大地溝帯固有のもの。公園は生物資源の密度が世界でも高いエリアで、哺乳類が218種、鳥類706種、爬虫類109種、両生類78種が生息し、絶滅危惧種のマウンテンゴリラやヒガシローランドゴリラ、ケナガチンパンジーの3種が見られます。ここは固有の脊椎動物が多く、コンゴ民主共和国の固有種オカピやルウェンゾリ山の固有種ルウェンゾリレッドダイカーなど、希少な動物が見られるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ヴィルンガ国立公園は、アフリカでも噴火活動が多い火山を持つヴィルンガ山地やアフリカでも最大の氷河が存在するルウェンゾリ山地が存在し、敷地内には絶滅危惧種のマウンテンゴリラはもちろん、オカピやルウェンゾリレッドダイカーなどの固有種も見られるという点で評価されています。
ちなみに、マウンテンゴリラはウガンダのブウィンディ原生国立公園にも生息しますが、ヴィルンガのゴリラは体毛が長く、色は黒めで、ブウィンディのゴリラは体毛が短く、色は褐色であるという点で、住むエリアによって体格も異なる様子。これは住む場所や食べる場所によって対応するらしく、我々が思った以上にゴリラは繊細な生き物なんです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。