ロシア・モンゴルの世界遺産「ダウリヤの景観群」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分自然遺産
登録基準(9), (10)
登録年2017年

モンゴル東部からロシアのシベリア、中国の東北部まで広がるダウリヤは、半乾燥気候の草原地帯「ステップ」の生態系が見られる地。ここは乾季と雨季による気候変動によって、草原や森林、湖、湿地など、草原に関連するさまざまな生態系が生息し、マナヅル、ノガン、ゴビスキンカモメ、ハクチョウなどの絶滅危惧種の渡り鳥が訪れる場所でもあります。そして、モウコガゼルの移動ルートでもあるのが特徴。

ここではダウリヤの景観群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ダウリヤについて詳しくなること間違いなし!

目次

ダウリヤの景観群とは?

ダウリヤの景観群
画像素材:shutterstock

ロシアとモンゴルにまたがるダウリアは、ダウルスキー自然保護区を含む4つの保護区から構成される遺産でもあります。ダウリアは、モンゴル東部からロシアのシベリア、中国の東北部まで広がる約100万平方kmに渡るステップ地帯を指し、タイガ(針葉樹林)から砂漠へと移行するエリアに草原にまつわる生態系が多く見られるのが特徴。ここは3つの植物相の合流地であり、湿った牧草地や氾濫原などが現在するステップ地形でもあります。

ダウリアは雨季と乾季を周期的に繰り返し、多様な生態系を生み出していてます。ここはマナヅル、ノガン、ゴビスキンカモメ、ハクチョウなど、絶滅危惧種を含む数百万の渡り鳥が生息する場所。ダウリアはモウコガゼルの移動ルートであり、ロシアにおける重要な生息地でもあります。他にも絶滅危惧種であるリス科のシベリアマーモットや貴重種のマヌルネコの保護区としても有名。

ダウリヤの景観群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ダウリヤの景観群
画像素材:shutterstock

ダウリヤが評価されたのが、以下の点。

登録基準(ix)
ダウリアは、草原から森林、湖、湿地まで、さまざま種類のステップ地形が手つかずのまま残り、多様な草原の生態系を保護しています。雨季と乾季を伴う気候の変動は、重要な動物の多様性を高め、優れた進化が見られるもの。ここは多くの動物たちの移動ルートでもあり、繁殖地でもあることから、環境に合わせて適応した生態系や生物の生息空間・多様性が存在するということ。

登録基準(x)
ダウリアは、マナヅル、ナベヅル、ノガン、ゴビスキンカモメ、ハクチョウなどを含む絶滅危惧種の生息地であるのが特徴。ここは渡り鳥の繁殖地であり、春には最大で300万羽、夏季には最大で600万羽も訪れるほど。ダウリアはモウコガゼルの移動ルートであり、絶滅危惧種のリベリアマーモットも見られるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

ダウリアは、さまざまなタイプのステップ地形が見られ、ここは雨季と乾季の気候変動によって独自に進化し、多様な種が存在するというのが特徴で、絶滅危惧種を含む渡り鳥が数百万も訪れるほどであるという点で評価されています。

ちなみに、シベリアマーモットはモンゴルでは「タルバガン」と呼ばれ、食用や薬用にされ、さらには毛皮を狙った乱獲によって現在では減少傾向に。おまけにペストにかかりやすく、肉を介してペストが蔓延することがあるとか。現地の人に肉を勧められた場合はよく火を通して、少しだけ食べよう(そんな場面は滅多にないと思うが…)。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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