登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (3), (6) |
登録年 | 1999年(2013年拡大) |
南アフリカ北東部のスタークフォンテン渓谷にあるスタルクフォンテイン、スワルトクランス、クロムドライという名の採掘場では、1924年に発見されたアウストラロピテクス・アフリカヌスをはじめ、ホモ・ハビリスなど450〜250万年前に遡る初期人類の化石が多く発掘。他にもヒト科の一派パラントロプス・ロブストゥスの化石や180〜100万年前に火を使用した痕跡なども発見されています。
ここでは南アフリカの人類化石遺跡群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、南アフリカの人類化石遺跡群について詳しくなること間違いなし!
南アフリカの人類化石遺跡群とは?
南アフリカ北東部にあるスタルクフォンテイン渓谷は、アフリカで誕生した初期人類であるアウストラロピテクス属の化石が世界で初めて発掘された地。ここではアウストラロピテクス・アフリカヌスやパラントロプス・ロブストゥスなど初期人類の化石などが発見されることから「人類のゆりかご」と呼ばれ、人類発祥の地とされています。ここは岩山と草原が混在し、石灰岩の洞窟が多く点在。世界遺産としては1999年にスタルクフォンテイン、スワルトクランス、クロムドライの3つの初期人類の遺跡が登録され、2005年にはマカパン渓谷とタウン具頭蓋化石出土地が追加で登録。
特にアウストラロピテクス・アフリカヌスは「アフリカの南のサル」という意味で、300〜200万年前に存在していてたとされる猿人のこと。1924年にオーストラリア出身の解剖学者レイモンド・ダートにより発見され、当時の学会ではその存在は受け入れなかったものの、これらは直立二足歩行を行い、石器を使うというのが特徴で、後にアフリカにおける最初期の人類だということとが認められました。
スタルクフォンテイン、スワルトクランス、クロムドライ
「スタルクフォンテイン」は首都ヨハネスブルクから北西に約35kmに距離にあり、1936年から古生物学者であるロバート・ブルームによって発掘が続けられ、アウストラロピテクス・アフリカヌスの雌成体である「ミセス・ピレス」を始め、260〜150万年前の地層から多くの化石が発見。
「スワルトクランス」と「クロムドライ」はスタルクフォンテインのすぐ近くで、パラントロプス・ロブストゥスという種の化石が発見。そして、原生人類のルーツに近いとされるホモ・ハビリス(240〜140万年前に存在)も発掘されています。
マカパン渓谷、タウン具頭蓋化石出土地
「タウン具頭蓋化石出土地」は1924年に発見された「タウン・チャイルド」と呼ばれるアウストラロピテクス・アフリカヌスが最初に発見された場所で、これをレイモンド・ダートが初期人類の化石と断定した場所。「マカパン渓谷」は、1947年からダートによって発掘が行われ、180〜100万年前に火を使用した痕跡などが残る地。
南アフリカの人類化石遺跡群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
南アフリカの人類化石遺跡群が評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
南アフリカの人類化石遺跡群は、350万年以上も前に遡るアウストラロピテクス属の化石が発見され、これは人類の起源、そして人類の進化を示すものであるという点。
登録基準(vi)
南アフリカの人類化石遺跡群は、科学者が発掘のために作り出された初期人類と動物の化石の保存のための環境となっていて、ここは人類の最古の歴史に関連し、大きな発見の可能性を秘めた科学的資料の宝庫であるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
南アフリカの北東部は「人類のゆりかご」と称されるほどに、アウストラロピテクス・アフリカヌスといったアフリカでも最初期の人類の化石が発掘され、ここは類人猿から原生人類への進化の過程が見られ、さらなる発見の可能性を秘めた場所であるという点で評価されています。
ちなみに、この地では2008年に「アウストラロピテクス・セディバ」という新種のアウストラロピテクス属が発見されています。発見者は古人類学者の9歳の息子であることも衝撃ですが、これは約180年前の類人猿とされて、現在のヒト科の祖先ではないか…という可能性もあり、さらなる調査が期待されています。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。