南アフリカは、アフリカ大陸最南端の国で、ラグビーやダイヤモンドなどでもおなじみですね。大自然が広がっていることから自然遺産も多いですが、人々は長らくアパルトヘイト法によって苦しめられたため、それに関連する遺産もあったりと種類も豊富。そんな南アフリカにはどんな世界遺産があるでしょうか?
ここでは、南アフリカの世界遺産を世界遺産マニアが一覧にして分かりやすく解説。それぞれの遺産を簡潔に解説していきましょう。
目次
南アフリカの人類化石遺跡群
南アフリカ北東部にあるスタルクフォンテイン渓谷は、アフリカで生まれた初期の人類であるアウストラロピテクス属の化石が世界で初めて発掘された地。ここではアウストラロピテクス・アフリカヌスやパラントロプス・ロブストゥスなど初期人類の化石などが発見されることから「人類のゆりかご」と呼ばれ、人類発祥の地とされています。
他にもヒト科の一派パラントロプス・ロブストゥスの化石や180〜100万年前に火を使用した痕跡なども発見されています。
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ロベン島
南アフリカの西南部にあるケープタウンは、アフリカ有数の大都市。その沖合に浮かぶロベン島は、「アザラシ」という意味のオランダ語から由来します。17〜20世紀には刑務所や隔離病棟、基地など、さまざまな用途で使われてきました。
20世紀後半からは強制収容所としてネルソン・マンデラなどの政治犯が収容されていたことでも有名で、現在はアパルトヘイトから自由を勝ち取ったシンボルとして世界遺産に登録されています。
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イシマンガリソ湿地公園
南アフリカ東部のクワズール・ナタール州の東海岸にある自然保護区で、13もの保護区で構成されています。ここは大規模な洪水や沿岸の暴風雨などによって形成された、森林や海洋保護区、湿原などさまざまな自然環境が見られるエリア。
ここはアフリカでサンゴが見られる南端の地で、公園内には6500種を越える動植物が存在し、特に希少種のシロサイなど貴重な動物も生息。
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マロティ=ドラケンスバーグ公園(レソトと共同)
マロティは、南アフリカとレソトの国境沿いに続くドランズバーグ山脈の一部を指し、南アフリカ側はウクハランバ・ドラケンスバーグ公園となっていて、レソト側はセサバテーベ国立公園となり、2つを合わせて世界遺産になっています。登録エリアは合計で240平方km以上も広がる緑の山岳地帯。
ここは絶滅危惧種のケープハゲワシなどの野鳥が住み、4000年以上にわたって描かれたサン族の壁画なども見られることから複合遺産として登録。
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マプングブエの文化的景観
北はジンバブエ、西はボツワナとの国境近くに広がるマプングブエは、アフリカ南部で10〜14世紀に繁栄したマプングブエ王国の首都であった場所。ここは川の合流点であり、聖なる山として崇められていた丘を中心にして集落が広がっていて、後にボツワナやジンバブエを支配したショナ王国のルーツでもあります。
ここには宮殿や要塞の跡が残っていて、象牙や金、交易品の磁気やガラスなどの交易品が発見されています。
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ケープ植物区系地方の保護地区群
南アフリカのケープ州に点在する13の保護区が登録されていて、固有植物や絶滅危惧種が自生するエリア。
ここは灌木植生地域であるフィンボスと呼ばれ、山火事が発生しやすいものの、環境に適応し、自生するプロテアという植物も見られるのが特徴。世界でも有数のホットスポットであり、多様な生物が見られると同時にそれぞれが絶滅の危険性もあります。
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リフタスフェルトの文化的・植物的景観
リフタスフェルトは、ナミビア国境の北ケープ州にある、峡谷や山々が続く砂漠地帯のこと。ここは半遊牧民であるナマ族が暮らしてきた地。現在は農耕民族であるバンツー族が多く移住してきたという影響もあり、ナマ族が伝統的な暮らしがするエリアはここだけとなっています。
ここでは固有種の保護区やイグサで編んだ簡易的な住居であるハル・オムなども見られます。
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フレデフォート・ドーム
南アフリカの中央に位置するフレデフォート・ドームとは、巨大なクレーターのこと。ここは約20億2300万年前の隕石の衝突により形成された地形で、最大半径は約190kmと世界最大。そして同時に世界最古の隕石痕でもあります。
この衝突によって地殻変動が起こり、生物の進化に影響を与えました。ここは地球の歴史が刻まれた場所。
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コマニの文化的景観
世界遺産に登録されているエリアは南アフリカ北西部にあり、ボツワナとナミビアの国境沿いにあるラハリ・ゲムズボック国立公園を含む砂漠地帯。
ここは石器時代から現在まで人々が居住し、そのコマニの景観は古くからカラハリ砂漠に住み、現在でも狩猟採集を行う唯一の民族・サン族の文化に関連しているもの。
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マコンジュワ山脈
南アフリカの北東部に位置するマコンジュワ山脈は隣国のエスワティニと接する、標高600〜1800mほどの山々。ここは世界でも最も古い地質構造の一つ、バーバートン・グリーンストーン・ベルトの約40%を占めています。
ここでは35億年〜32億5000万年前に形成された火山岩と堆積岩が見られ、大陸の形成の歴史が分かるというほどに価値のあるもの。そして、2019年に地球外有機物が発見されたことでも有名です。
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人権、解放と和解 : ネルソン・マンデラの遺産群
南アフリカ国内の14の遺産から構成され、これらは20世紀の南アフリカの政治史に関連したもの。南アフリカ共和国の第8代大統領であり、アパルヘイト体制を終了させた英雄、ネルソン・マンデラ(1918〜2013年)の足跡を中心に世界遺産に登録されています。
これらはアパルトヘイト(アフリカーンス語で「分離、隔離」意味する、政府による人種隔離政策)に対する長い闘争を記憶するものであり、反アパルトヘイト運動に情熱を燃やしたネルソン・マンデラの影響が見られるもの。
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現生人類の出現:南アフリカの更新世の居住地群
今は世界中で暮らしている現生人類は、約20万年前(年代に関しては諸説あり)にアフリカにて誕生したとされています。南アフリカ各地には、洞窟や川など、更新世(約258万年前〜約1万1700年前)の中期〜後期まで、現生人類の進化が分かる場所が点在。これは現生人類の起源を解き明かす証拠の一つとして貴重なもの。
アフリカ南部に暮らすコイサン諸語は地球上で存在する最古の現生人類の系統で、彼らの先祖は120〜130万年に遡るということも分かり、これらの遺跡は現生人類の起源についての学説に多大に貢献してきました。
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世界遺産マニアの結論と感想
南アフリカは文化遺産が8件、自然遺産が3件、複合遺産が1つと合計で12件登録。ここは初期の人類であるアウストラロピテクス属の化石遺跡からアパルトヘイトの歴史まで、人類の歴史にまつわる文化遺産もあったりと、バラエティ豊か。そして、世界最大のクレーター、フレデフォート・ドームなど、地球のパワーを感じることができる自然遺産もいっぱい!
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。