登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (3), (4), (6) |
登録年 | 2017年 |
フランス領ポリネシアのライアテア島にあるタプタプアテアは、島々の集合体である「ポリネシアントライアングル」の中心にある祭祀遺跡。ここはマラエと呼ばれる祭祀場があり、戦いと豊穣の神であるオロ神を祀っていて、神と祖先と出会える聖地とされていました。登録されているのはマラエだけでなく、周囲のラグーンや渓谷などで構成される文化的景観でもあります。
ここでは、タプタプアテアがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、タプタプアテアについて詳しくなること間違いなし!
タプタプアテアとは?
ライアテア島は、フランス領ポリネシアのソシエテ諸島に含まれる島。リゾート地で有名なタヒチ島に次ぐ規模を持つ島で、タヒチ島からも近い距離にあります。神話ではポリネシア人発祥の地とされていて、タプタプアテアは政治と宗教の中心地として崇められていました。
島の東側の突き出た半島の先には、マラエと呼ばれる祭祀場が残存しています。マラエは、ポリネシア全土でそれぞれ造られたもので、儀式などが行われた場所。ライアテア島のものは、石が敷き詰められた長方形の敷地の中に、アフと呼ばれる長方形の祭壇があります。ここでは、戦いと豊穣の神であるオロ神が祀られていて、神と祖先が交差する場所とされていました。
特にライアテア島のマラエは、ソシエテ諸島の中心地のような存在でもあり、ここには各島から首長や司祭、戦士たちが定期的にやってくるので、政治の面でも中心でもあったのです。
タプタプアテアはマラエだけではなく、文化的景観として登録されているので、コアゾーン(登録エリア)だけでも22平方kmもの広大な地域が登録されています。マラエの周辺にあるラグーンと珊瑚礁も登録されていて、陸側にある森林に囲まれた谷の遺跡や農地跡まで範囲内。これらは神々や先祖たちにちなんだ名前が付けられていたりと、島の文化と関連付けられており、すべてを含めて文化的景観となっているのです。
タプタプアテアはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
タプタプアテアが評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
海岸に近いタプタプアテアのマラエとその背後の谷に点在する遺跡など、1000年以上のポリネシア人の文明があったことを示しているという点。
登録基準(iv)
マラエは14〜18世紀にかけて、ポリネシアの人々の聖地で、タプタプアテアのものはその中でも特別なマラエであったということ。
登録基準(vi)
タプタプアテアはポリネシアの人々にとってルーツであり、祖先とを結びつけるアイデンティティであったという点で重要だったということ。
世界遺産マニアの結論と感想
正直、タプタプアテアのマラエの見た目は「単なる石が積み上げられた敷地」にしか見えないかもませんが、これこそがポリネシアの人々の聖地であり、政治の場であったのです。ここは彼らにとって文化的なルーツであり、他のマラエとは違い、ソシエテ諸島におけるトップクラスのマラエであったということが評価。そして、文化的景観として登録されているので、マラエを取り囲むすべての風景も世界遺産でもあります。
ちなみに、キリスト教が伝来すると多くのマラエは放棄されましたが、今でも文化的アイデンティティとして残されていることも。同じポリネシアに含まれるイースター島では、マラエのアフからモアイに発展したと考える説もあるとか。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。