青森県の世界遺産「是川遺跡」とは？世界遺産マニアが解説

是川遺跡（これかわいせき）は「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産の一つ。台地の上に築かれた縄文時代の3つの集落が並ぶ遺跡で、香炉形土器など美しい土器も出土。ところで、是川遺跡はなぜ世界遺産なのでしょうか？意外と知ってそうで知らない！

ここでは是川遺跡がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、是川遺跡について詳しくなること間違いなし！

是川遺跡とは？

青森県八戸市大字是川中居にあり、縄文時代前期〜後期の遺跡群。ここは台地の上に築かれた集落で、小規模ではあるものの、縄文時代前期〜中期の一王寺遺跡、中期の堀田遺跡、晩期を中心とした中居遺跡の3つに分かれています。特に中居遺跡では多数の土器が発見され、土坑墓からは赤色顔料をまかれた人骨も出土。

この地域で発掘された縄文土器は、香炉形土器など美しい文様の土器が発掘されています。これらは同じ青森県内にある亀ヶ岡文化圏に属していて、当時の優れた工芸技術が分かるもの。

是川遺跡はどんな理由で世界遺産に登録されているの？

是川遺跡が評価されたのが、以下の点。

登録基準（iii）
北海道・北東北の縄文遺跡群では、土器や土偶などの遺物、墳墓、土塁、ストーンサークルなどが発掘され、これらは世界的に珍しい定住型狩猟社会の文化を示すものであるということ。

登録基準（v）
北海道・北東北の縄文遺跡群は定住地の出現から成熟期までの土地利用が見られ、縄文時代の人々は、食料が採れる川の近くや干潟、森など、農耕社会のように定住地を大きく変えることなく、自然と適応しながら狩猟採集生活を維持してきたということを示しているという点。

世界遺産マニアの結論と感想

是川遺跡は、縄文時代前期から後期まで多くの遺構があることから、定住型狩猟社会の変化が見られるのが特徴。亀ヶ岡文化圏の土器なども発掘されていることから、当時の文化もよく分かるという点で評価されています。

ちなみに敷地内にある是川縄文館は、もちろん是川遺跡の発掘物が展示されているのですが、2009年に近くの風張遺跡で発掘された「合掌土偶」が展示されています。ここでは70点ほど土偶が発見されていますが、座り込んで手を合わせるという合掌のポーズをとる土偶は現在これだけしか発掘されてないので、非常に珍しいもの。この土器が築かれた背景などを考えると、ちょっと想像力が掻き立てられますね。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。