登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (2), (3), (4), (6) |
登録年 | 1987年 |
エレクティオン神殿は「アテネのアクロポリス」の構成資産の一つ。アテネの由来となった女神アテナの像が祀られた神殿で、その美しさはイオニア式建築の傑作でもありました。ところで、エレクティオン神殿はなぜ世界遺産なのでしょうか?
ここではエレクティオン神殿がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、エレクティオン神殿について詳しくなること間違いなし!
エレクティオン神殿とは?
ギリシャの首都アテネには、標高156mの石灰岩の丘があり、頂上に立つ建造物は古代ギリシャから現在までその姿を残すものです。丘の上は「アクロポリス」と呼ばれ、神殿を中心とした聖域となりました。
エレクティオン神殿は丘の北側のスロープに位置する紀元前407に完成したイオニア様式の神殿。かつては女神アテナ像が安置されていたとされています。エレクティオンとは、ギリシャ神話におけるアテネ王エリクトニオスから由来していて、神殿内にはエレクティオンと、その母アテナの他に、海と地震の神ポセイドンも祀られていました。
ここは北西部と南西部では3mほどの高低差があり、円柱には豪華な装飾が施され、一つの建物に祭祀所がまとめられているというのが特徴。神殿の北側にある大きな玄関には、カリアティード(女性の立像)と呼ばれる6体の少女の姿の柱があり、シンボル的存在でもあります。
エレクティオン神殿はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
エレクティオン神殿が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
自然環境を利用して形成されたアクロポリスは紀元前5世紀のアテネが繁栄した時代の傑作を残しつつ、丘の上の景観を作り出しているという点。
登録基準(ii)
アクロポリスの建造物は、ギリシャ・ローマだけではなく、現在でも新古典主義様式にもモチーフとして影響を与えているということ。
登録基準(iii)
アクロポリスの神殿などは、ギリシャの人々が信仰していた宗教の存在を証明しているという点。
登録基準(iv)
アクロポリスは、紀元前16世紀〜12世紀のミケーネ文明時代の城壁や紀元前5世紀に建造された神殿など、紀元前16世紀以降の建築の発展の歴史が見られるということ。
登録基準(vi)
ここにはソクラテスやプラトンなどの哲学者、建築家、芸術家、政治家などが多く活躍し、世界史における重要な出来事の舞台となったということ。
世界遺産マニアの結論と感想
エレクティオン神殿は、アテナ神などのさまざまな神を祀る神殿であり、ギリシャの人々の信仰が見られ、カリアティードなどは近代以降の建築様式にも影響を与えたという点で評価されています。
ちなみに、エリクトニオスの母は女神アテナとされ、父は炎と鍛冶の神ヘーパイストスとされています。ヘーパイストスは醜い外見を持っていたために、アテナに無理やり迫り、エリクトニオスが誕生したという恐ろしいエピソードも。不幸にもエリクトニオスは下半身が蛇である姿で生まれてしまいました。とはいえ、アテナは自分の息子であるエリクトニオスをきちんと育て上げたので結果的には良かったのかもですが。…神話ですけど。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。