登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (4) |
登録年 | 1991年 |
ジョグジャカルタ島の中央部にあるプランバナン寺院は、9〜10世紀に建造されたインドネシア最大のヒンドゥー教寺院。基壇の上にシヴァ、ヴィシュヌ、ブラフマー神に捧げられた祠堂の他、無数の祠堂が並ぶという独特の建築物です。さらに周囲に点在する仏教寺院やヒンドゥー寺院も合わせて登録。
ここでは、プランバナン寺院群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、プランバナン寺院群について詳しくなること間違いなし!
プランバナン寺院群とは?現在は遺跡となっている
インドネシア中央部にあるジョグジャカルタ特別州。州都ジョグジャカルタ市から東へ約17kmに位置するプランバナン寺院は、9〜10世紀に建造されたインドネシア最大のヒンドゥー教寺院で、240もの祠堂が並ぶもの。
これらは8〜10世紀にジャワ島のジョグジャカルタ周辺で栄えた古マタラム王国時代に建造されました。この王朝はヒンドゥー教を国教としていたとされ、寺院は9世紀に11代目の王・バリトゥンによって建造。当時は周囲には王宮があったとされます。ここでは宗教儀礼などが行われましたが、これだけ立派な建築物であるのに10世紀になると遺棄。王朝はジャワ東部に移転してしまいました。
16世紀になると、ジャワ島にて大地震が発生し、寺院は崩壊。18世紀になると再発見され、1930年代になってようやく修復されます。1953年に完成したものの、2006年の地震によって再び崩壊。日本の援助などもあり、再び修復されています。
周囲には500以上も寺院が残り、ヒンドゥー教寺院であるサンビサリ寺院、仏教寺院はカラサン寺院とセウ寺院、プラオサン寺院など、さまざまな寺院が残り、これらも世界遺産に登録。
登録されている主な世界遺産
プランバナン寺院(ロロ・ジョングラン)
インドネシア最大のヒンドゥー教寺院。一辺110mの正方形の基壇の上に、240もの祠堂が並んでいます。その中でも最大のものは高さ47mの尖塔を持つ、ヒンドゥー教の最高神であるシヴァ神を祀ったシヴァ堂。回廊には古代インドの叙事詩『ラーマーヤナ』のレリーフが残っています。
その左右にはヒンドゥー教の最高神であるブラフマーとヴィシュヌの祠堂もあります。合計で8つの大型祠堂の周りに、プルワラと呼ばれる小祠堂が無数に並ぶという構造で、これらは歴代の王によって建造されたもの。プルワラの一部は修復されているものの、ほとんどは崩壊したままの状態。
寺院はヒンドゥー教の神々の住む聖山であるメール山(須弥山)をイメージして造られていて、この寺院全体がマンダラとして配置されていると考えられています。
しかし、10世紀以降、寺院は遺棄されると荒廃。呪われた王女ロロ・ジョングランの神話の舞台となり、伝説の内容はさまざまですが、人々はここを「ロロ・ジョングラン」と呼ぶようになりました。
カラサン寺院
プランバナン寺院から南西へ約2kmほど離れた位置にある、8世紀に建造された仏教寺院。入口の上部にあるカーラと呼ばれる鬼面は、ジャワ島美術の傑作とされています。
サンビサリ寺院
プランバナン寺院から南西へ約10kmほど離れた位置にある、ヒンドゥー教寺院。9世紀前半に建造され、主祠堂内にはヒンドゥー教のシンボルであるリンガとヨニが残っています。
セウ寺院
プランバナン寺院の北へ約1.5km。8世紀末に建造されたとされる仏教寺院。インドネシアの仏教寺院としてはボロブドゥール寺院に次ぐ大きさを誇るもの。南北185m、東西165mと広大な敷地に、240ものプルワラ(小祠堂)が配置されていました。主祠堂の高さは約30m。
プラオサン寺院
セウ寺院から東へ約1.5km。ここは9世紀頃に創建されたとされ、仏教寺院として建設されたもの。北側に2つの大きな寺院があり、その周囲にプルワラ(小祠堂)や仏塔が並んでいます。
プランバナン寺院群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
プランバナン寺院群が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
プランバナン寺院は、インドネシア古典期のヒンドゥー教建築の傑作であるという点。
登録基準(iv)
プランバナン寺院群は、古マタラム王国時代におけるヒンドゥー教や仏教などをテーマにした、優れた建築物であるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
プランバナン寺院と周囲に残る寺院は、古マタラム王国時代の優れた宗教建築部物であり、それがインドネシアの芸術の古典となったという点で評価されています。
ちなみに、現在のジャワ島はほとんどがイスラム教徒ではあるものの、プランバナン寺院はヒンドゥー教寺院ということで、遺跡の西側に野外劇場が設立され、そこでは遺跡をバックにラーマヤナ舞踏などが演じられています。さすがに雰囲気たっぷり!