登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1),(3),(6) |
登録年 | 1982年 |
スリランカ中部にあるポロンナルワは、11〜13世紀に繁栄したポロンナルワ王国の首都であった場所。12世紀後半にパラークラマ・バーフ1世によって広大な人造湖が作られ、湖畔には壮麗な宮殿や寺院が建設されました。特にガル・ヴィハーラ寺院の涅槃仏はスリランカ仏教美術の傑作とされるもの。
ここでは古都ポロンナルワがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ポロンナルワについて詳しくなること間違いなし!
古都ポロンナルワとは?
ポロンナルワは、スリランカ北中部州にあるポロンナルワ王国時代の首都だった場所です。ポロンナルワ王国は現在でもスリランカで最も人口の多い民族・シンハラ人による王朝で、11世紀にかつての首都であり、北西に位置していたアヌラーダプラから遷都し、築かれました。
12世紀後半のパラークラマ・バーフ1世の時代が最盛期で、当時は彼によって建造された広大な人造湖パラークラマ・サムードラや王宮、そして、ガル・ヴィハーラ寺院など仏教建築も多く並ぶ都市でした。中心部には「ワタダーゲ」と呼ばれる仏塔を保護するために造られた建造物も残っています。
しかし、13世紀になると王国は衰退し、シンハラ人はこの都市を放棄。19世紀に再発見されるまでジャングルに埋もれていました。
パラークラマ・サムドゥラ
パラークラマ・サムードラによって建造された広大な人工湖。王は国内の灌漑設備を充実させるために、人工の灌漑用貯水池を建造。湖から給水することによって乾季でも農業が行われるようになり、王国の発展に貢献しました。現在は観光地となっています。
ガル・ヴィハーラ寺院
街の北側に位置する寺院。12世紀に建造の寺院で、花崗岩を削って仏像などが建造されているのが特徴です。ここは坐像や立像、全長約13mの涅槃仏などがあり、これはポロンナルワの中でも最高傑作。仏教を深く信仰していた王国であったため、寺院は教育機関的存在でもありました。
古都ポロンナルワはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ポロンナルワが評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
ポロンナルワは、農業促進のために建造した人工湖やスリランカ仏教の最高傑作であるガル・ヴィハーラ寺院などが多く残るという点。
登録基準(iii)
パラークラマ・サムドゥラの近くには、かつての宮殿や仏教施設などが残り、かつてのシンハラ人の王都の繁栄が見られるということ。
登録基準(vi)
ここはポロンナルワ王国の王都であり、これ以前にスリランカを支配していた南インドのチョーラ朝はヒンドゥー教の国家であったものの、王族は仏教を手厚く保護し、多くの仏教施設を築いたという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ポロンナルワはかつてのポロンナルワ王国の繁栄がよく分かる遺跡が残るというのがポイント。スリランカ仏教美術の傑作であるガル・ヴィハーラ寺院や農業促進のために建造した人工湖など、王国の文化や科学の発展も見られるという点で評価されています。
ちなみに、最近のポロンナルワは観光で訪れる人も多く、絶滅危惧種のトクモンキーが遺跡に住みついていて「遺跡とサル」といった景観も人気のようです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。