登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (10) |
登録年 | 1993年 |
メキシコ北西部、バハ・カリフォルニア半島の中央部に位置する広大な生物保護区。太平洋沿岸のセバスティアン・ビスカイノ湾は、コククジラを始め、さまざまな海洋生物の繁殖地であるとともに越冬地になっていて、絶滅危惧種であるウミガメは4種類も生息しています。
ここではエル・ビスカイノのクジラ保護区がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、エル・ビスカイノについて詳しくなること間違いなし!
エル・ビスカイノのクジラ保護区とは?
太平洋とカリフォルニア湾に挟まれたバハ・カリフォルニア半島の中央部に広がる保護区で、ここはセバスティアン・ビスカイノ湾に広がる2つの潟(ラグーン)を中心に、内陸の砂漠地帯、標高2000mほどの高原地帯が含まれ、約37万平方kmとメキシコでも最大規模の保護区でもあります。
特にオホ・デ・リエブレとサン・イグナシオの2つの潟は、かつて絶滅の危機に瀕していたコククジラの繁殖地として有名で、世界の半分のコククジラがここで生まれるというほど。他にもバンドウイルカやキタゾウアザラシ、アシカなどが見られ、4種類のウミガメが見られます。
内陸部は砂漠が広がっていて、雨が少なく、気温も高いという砂漠気候のため、厳しい環境に適応した固有種や多様な生態系が見られます。保護区にはミサゴやコクガンなど渡り鳥を含めて鳥類が多く見られるのも特徴。
エル・ビスカイノのクジラ保護区はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
エル・ビスカイノが評価されたのが、以下の点。
登録基準(X)
エル・ビスカイノのクジラ保護区は、北太平洋で数が減りつつあったコククジラの繁殖地であり、潟は温度や栄養素、塩分、深さなど、最適な環境であります。他にも海洋哺乳類が多く見られ、4種類の絶滅危惧種のウミガメも生息。湿地には数十万もの渡り鳥が生息し、砂漠では動植物の多様性が見られ、固有種なども存在しているという点。
世界遺産マニアの結論と感想
内陸は砂漠地帯が広がるエル・ビスカイノのクジラ保護区は、大規模な開発が行われなかったため、沿岸の潟はかつて乱獲によって減少したコククジラの繁殖に最適な保護区となりました。ここは海洋哺乳類も多く見られ、厳しい砂漠環境の中に生息する動植物は固有種が多く見られるという点で評価されています。
ちなみに、セバスティアン・ビスカイノ湾の名の由来になったセバスティアン・ビスカイノは、16世紀に真珠を探すために探検を行ったスペインの探検家。そして、彼は1611年に日本へと訪問して、なんと江戸幕府2代目徳川秀忠に謁見したことも。彼が献上した洋時計は父である家康のお気に入りで、静岡の久能山東照宮博物館に今でも保存されています。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。