登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (3), (4) |
登録年 | 2017年 |
ザダルの防衛システムは「16世紀から17世紀のヴェネツィアの防衛施設群:スタート・ダ・テッラと西スタート・ダ・マール」の構成資産の一つ。ザダルは半島に築かれた都市で、アドリア海でも古代から発展し、旧市街にはヴェネツィア共和国支配時の防衛システムが今でも残っています。ところで、ザダルはなぜ世界遺産なのでしょうか?
ここではザダルがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ザダルについて詳しくなること間違いなし!
ザダルの防衛システムとは?
ザダルはクロアチア西部にあり、アドリア海に面したダルマチア地方の都市。集落としての歴史は紀元前9世紀と古く、かつてはローマ帝国に支配されていたため、フォロ・ロマーノと呼ばれる広場には当時から存在する柱などが見られます。13世紀からヴェネツィア共和国に占領され、半島となっている旧市街を囲むように建造された防衛施設が世界遺産として登録。
中世にはザラと呼ばれ、ハンガリー王国やクロアチア王国などに支配されたため、旧市街に点在する教会や大聖堂などは当時から残るもの。旧市街の南側の位置する「陸門」はヴェネツィアの建築家によって築かれ、ヴェネツィア共和国のシンボルである「聖マルコのライオン」がデザインされています。近くにあるシタデル(城塞)は15世紀に建造され、今でも保存状態は良好。
ザダルの防衛システムはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ザダルが評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
ヴェネツィアの防衛施設群は、共和国内で16〜17世紀にかけて発展し、近代化されたもので、スタート・ダ・テッラと西スタート・ダ・マールに残る防衛施設は、軍事施設というだけでなく、都市としての構造を持ち、ヴェネツィア湾付近からアドリア海まで広がっていたという点。
登録基準(iv)
ヴェネツィアの防衛施設群は、銃器を使用することが多くなった時代に構築された近代的な防衛施設で、スタート・ダ・テッラと西スタート・ダ・マールには技術や戦略、戦闘法、新たな建築要素を含み、近代的な防衛システムを確立していったということ。
世界遺産マニアの結論と感想
ザダルには、今でもヴェネツィア共和国が建造した防衛設備が残っていて、それらは近代的な要素が見られるという点で評価されています。
ちなみに、海岸にある大理石の階段には「海のオルガン」という波を浴びると音楽を奏でるという不思議な装置があります。第二次世界大戦でザダルの旧市街は破壊されたために、海岸はコンクリートの壁で再建されたということもあり、殺伐とした海岸が続いていました。2005年の再計画プロジェクトでこのようなサウンドアートが加えられ、地元の人々だけでなく、観光客にも記憶に残るロマンチックな雰囲気を作り出しているのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。