長崎県の世界遺産「旧グラバー住宅(グラバー園内)」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(2), (4)
登録年2015年

旧グラバー住宅は「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成遺産の一つ。グラバー園にあるトーマス・グラバーの邸宅であり、日本最古の木造の洋館であることでも有名。ところで、旧グラバー住宅はなぜ世界遺産なのでしょうか?意外と知ってそうで知らない!

ここでは旧グラバー住宅がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、旧グラバー住宅について詳しくなること間違いなし!

目次

旧グラバー住宅(グラバー園内)とは?

グラバー像/旧グラバー住宅(グラバー園内)

長崎市内にある南山手の丘にある旧グラバー住宅は、スコットランドの実業家トーマス・グラバー(1838〜1911年)がかつて暮らしていた邸宅。彼は商人として1859年に来日し、その後、長崎を拠点にグラバー商会を設立しました。ビジネスとしては、茶や絹の輸出をし、船舶や武器を輸入するというものでしたが、一方、小菅修船場や高島炭鉱などを運営し、日本の近代化に大いに貢献してきた人物。

旧グラバー住宅(グラバー園内)
画像素材:shutterstock

ここは1863年頃に建造されたとされる日本最古の木造の洋風建築です。玄関はなく、室内へはベランダから直接入るというのが特徴。洋風の邸宅なのに日本の瓦や土壁が使用された独特の建造物で、T字形の複雑な構造となっています。現在は、明治期に来日したイギリス人商人のリンガーとオルトの住宅を含めて、グラバー園として野外博物館の一部となっていますが、世界遺産に登録されているのはグラバー邸だけ。

旧グラバー住宅(グラバー園内)はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

旧グラバー住宅(グラバー園内)
画像素材:shutterstock

旧グラバー住宅が評価されたのが、以下の点。

登録基準(ii)
明治日本の産業革命遺産は、江戸時代から続く封建社会であった日本が19世紀半から西欧の技術によって20世紀初頭まで短期間で世界有数の工業国となり、そのノウハウや技術など、東アジアの工業化において影響を与えたという証拠である点。

登録基準(iv)
日本各地に残る鉄鋼、造船、石炭の産業拠点は、世界の歴史において、西欧諸国以外で初めて近代化に成功し、西欧技術の採用により、地元の技術革新と合わせて日本独自の工業化を反映した産業遺産であったということ。

世界遺産マニアの結論と感想

旧グラバー住宅は、日本の洋風建築の原点であり、日本の近代産業の発展に大いに貢献したトーマス・グラバーの邸宅でもあるという点で評価されています。

ちなみに、グラバーは麒麟麦酒(現在のキリンホールディングス)の基礎を築いたことから、国産のビールの普及についても大いに貢献した人物。グラバーは麒麟の像をすごく気に入っていて、そのため、キリンビールのラベルに麒麟を描くというのは彼のアイデアではなかったのですが、今のように麒麟をメインのデザインにするように指示したのはグラバーとのこと(これはキリンホールディングスさんの公式HPに記載があるので確かな情報です!)。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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