登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1),(2),(4),(6) |
登録年 | 1987年 |
ピサの斜塔は「ピサのドゥオモ広場」の構成資産の一つ。ガリレオが実験を行ったという伝説が残るピサの斜塔は、傾いているのに崩壊しないという不思議な塔として世界的に有名です。ところで、ピサの斜塔はなぜ世界遺産なのでしょうか?
ここではピサの斜塔がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ピサの斜塔について詳しくなること間違いなし!
ピサの斜塔とは?場所はどこにある?
イタリアの中部、トスカーナ州西部にあるピサは、かつて地中海沿岸の海運国家として繁栄した都市。街の外れにある大聖堂は、1063年にピサ軍がシチリア島のパレルモでサラセン軍を破ったことを記念して建造されたもの。
大聖堂の鐘楼は1173年に着工し、完成したのが1372年。ここは「ピサの斜塔」と呼ばれることで知られ、高さは55.86mで階段は296段もあります。
斜塔はなぜ倒れない?その角度は?
なんといってもこの塔を有名にしているのは「傾き」。これは軟弱な地盤が原因で、着工当時から傾いていたと言われています。塔は傾いた側を高くして少しずつ水平になるよう調整していったためにアンバランスであるものの、一応完成しました。
やがて長年の地盤沈下により、塔は5.5度も傾いていました。現在の角度は約3.97度ではありますが、これは1990年から2001年まで行われた改修工事によるもの。2008年には少なくとも300年まで倒れる危険がないと判断されたので、現在は観光客も安心して見学できるようになっています。
ガリレオによるピサの斜塔実験
塔で有名なエピソードとしては、16世紀末にガリレオ・ガリレイ(1564〜1642年)が塔の上から2つの物体を落とし、落体の法則を発見したという伝説。しかし、この実験を初めて公表したのは、ガリレオ本人ではなく、弟子のヴィンチェンツォ・ヴィヴィアーニ(1622〜1703年)。
実際はここでは実験していないという説が有力ですが、彼はピサ出身で大学教授として働いていたために、この地で法則を発見したことは確かではあります。
ピサの斜塔はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ピサの斜塔が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
斜塔、大聖堂、洗礼堂、墓所は建築としても素晴らしいのですが、内部には世界的に有名な芸術作品などが多く見られるという点。
登録基準(ii)
ピサの建築様式や芸術は、11〜13世紀のピサが繁栄していたころは交易ルートを通じて周辺の島々に、14世紀はトスカーナ地方を中心に影響を与えていたということ。
登録基準(iv)
ピサのドゥオモ広場は中世のキリスト教の建築物で構成されているという点。
基登録準(vi)
ガリレオ・ガリレイが落体の法則をピサのドゥオモ広場で発見し、実験を行ったという伝説が残り、科学史においても重要な発見があった場所としても評価されているということ。
世界遺産マニアの結論と感想
ピサの斜塔は、海運国家として繁栄していた時代に築かれたもので、ガリレオ・ガリレイの伝説にも関連していて、科学史においても重要な場所として評価されています。
ちなみに、設計当時は遥かに高い塔を建設予定だったものが、傾きが止まらなかったために高さ55.86mで留まってしまったというエピソードもあり、結果的にあまり高くしないほうが良かったのかもしれません。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。