エジプトの世界遺産「オールド・カイロ」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(1),(5),(6)
登録年1979年

オールド・カイロは「カイロ歴史地区」の構成遺産の一つ。ここは現在のカイロのルーツとも呼べる場所で、今ではコプト正教会の教会や古いモスクなどが集まるエリアです。ところで、オールド・カイロはなぜ世界遺産なのでしょうか?

ここではオールド・カイロがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、 について詳しくなること間違いなし!

目次

オールド・カイロとは?

バビロン城
画像素材:shutterstock

オールド・カイロはカイロ発祥。ここはナイル川から紅海を結ぶファラオ運河の入口近くにあり、ローマ時代はバビロン城が築かれ、要塞都市が存在していたとされています。そして、キリスト教が伝わると、ここはエジプトを中心としたキリスト教徒の一派であるコプト正教会の教会が多く建造されていきます。現在はコプト地区として、イスラム国家の中でもキリスト教会が多く残るエリア。

7世紀になると、イスラム軍の将軍であったアムル・イブン・アルアースがアフリカ大陸を攻略するために、この地に拠点を建造。そこは「フスタート」と呼ばれる、現在のカイロ南部に築かれた軍事基地にあたり、ここではアフリカ大陸初のモスクが造られ、現在もモスクが存在しています。

聖ゲオルギオス教会

聖ゲオルギオス教会
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オールド・カイロの中でもシンボル的な教会。10世紀頃に建造されたとされますが、もともとはバビロン城の敷地であった場所とされています。

現在の建造物は20世紀初期に再建されたもので、円形(ロタンダ)の構造となっています。入口正面のファサードには、教会の名の由来である「聖ゲオルギオス」が竜退治をするレリーフが配置。

聖セルジウス教会

聖セルジウス教会
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エジプトでも最も古いコプト正教会の教会の一つで、洞窟教会であるために地下に位置しています。伝承では、聖母マリアがイエス・キリストを連れてエジプトへと逃げてきた時に滞在した洞窟であったとされていますが、現在の地下聖堂は2世紀頃に築かれたもの。

現在の構造は6〜8世紀ころに完成したもので、聖セルジウス教会の修道士はコプト教会の総主教の多くが任命されたほどに名高い教会でした。

アムル・イブン・アル=アース・モスク

アムル・イブン・アル=アース・モスク
画像素材:shutterstock

オールド・カイロでも北側に位置する、642年に建造されたアフリカ大陸最古のモスク。ここは将軍アムル・イブン・アル=アースがエジプトを征服する際に彼が設置したテントがあった場所に設立されたとされています。初期は簡素なレイアウトで、何度か拡張工事され、現在見られる建造物は18世紀に再建されたもの。今も修復工事が続いている部分もあります。

オールド・カイロはどんな理由で世界遺産に登録されているの?

聖セルジウス教会
画像素材:shutterstock

オールド・カイロが評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
カイロのイスラム地区とオールド・カイロに残る建造物は、人類の創造的才能が見られるということ。

登録基準(v)
歴史地区は、カイロの近代的な都市部と一体となっていて、今でも人々が住む旧市街にモスク、マドラサ(神学校)、ハマムなど、かつての繁栄が見られる建築物が溶け込んでいるという点。

登録基準(vi)
世界でも最も古いイスラム都市の一つで、14世紀には「1000のミナレットが立つ街」と称されるほどに黄金時代を迎えた都市であったということ。

世界遺産マニアの結論と感想

オールド・カイロに残る建造物は、それぞれが非常に優れていて、現在のイスラム都市以前の繁栄が見られるという点で評価されちえます。

ちなみに、聖母マリアが幼いイエスを連れて逃げてきたというエピソードは『マタイによる福音書』に記載があり、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品である『岩窟の聖母』でも有名ですが、ルネサンス期のフィレンツェではよく見られるもの。このエピソードは、ヘロデ王がイエス・キリストを恐れ、狙われたために一時的に避難したというもので、当時のイスラエルとエジプトは同じローマ帝国であったために行き来が割と楽であったともされています。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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