登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (3), (6) |
登録年 | 1979年 |
ジェセル王の階段ピラミッドは「メンフィスとその墓地遺跡-ギザからダハシュールまでのピラミッド地帯」の構成資産の一つ。ここはエジプトでも最初期のピラミッドで、5層にも渡って積み重ねたもの。ところで、階段ピラミッドはなぜ世界遺産なのでしょうか?
ここでは階段ピラミッドがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、階段ピラミッドについて詳しくなること間違いなし!
ジェセル王の階段ピラミッドとは?
首都カイロから南へ約30kmの距離にあるサッカーラ(サッカラ)の遺跡群。ここはエジプト第2王朝時代から墳墓があり、その中でも最も古く、有名なのは第3王朝のファラオ・ジョセル王(在位:紀元前2668年〜紀元前2649年)の階段ピラミッドです。
これは日干し煉瓦を積み上げた墓・マスタバを5層にも重ねた構造になっていて、世界最古のピラミッドであり、高さ62mとサッカーラで最も高いピラミッドでもあります。もともとは高さ10m、幅は63mの小さなマスタバ墳でしたが、当時の宰相であり、重臣のイムホテプたちによって東側に何層も拡張され、現在の階段状のピラミッドが完成しました。
内部には何が?地下室に玄室はある?
ピラミッドの地下には、深さ28mの地下室と迷路のような回廊が存在していて、ファラオやその家族の玄室のほかに副葬品や供物を保管するためのスペースが存在してました。玄室は花崗岩で築かれており、部屋の高さは4.73mという世界最大規模。中には封鎖されていた石棺が残るものの、かつて盗掘に遭ったために遺体などは残存していません。
他にも地下遺跡には、一部が青いタイルとなっている壁もあり、これは当時としては珍しい装飾で、ここにはジェセル王の姿が描かれています。
ジェセル王の階段ピラミッドはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
階段ピラミッドが評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
サッカーラの史上初のピラミッドや4000年以上の歴史を誇るギザの大ピラミッドなど、人類史に残るピラミッドが集まっているという点。
登録基準(iii)
ピラミッドはエジプト文明の形成にさかのぼるシンボルであり、この地に存在した王朝の権力と組織の象徴であったということ。
登録基準(vi)
メンフィスは、プタハ信仰の中心地というだけでなく、芸術などが盛んな美しい都であったということが分かるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
サッカーラにはエジプト初のピラミッドがあり、ここは階段のように何層にも積み上げられるという構造で、人類史としても貴重であるという点で評価されています。
ちなみに、ピラミッドから南東にある「セド祭殿」には、かつてファラオが在位中に行った「セド祭」があり、ここも比較的状態が良いもの。実はファラオが即位後30年には、必ずセド祭を行うようになりました。そして、セド祭はジェセル王の時代からプトレマイオス朝(紀元前305年〜紀元前30年)まで、2000年以上も行われていたとされるから不思議ですね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。