登録区分 | 文化遺産 |
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登録基準 | (1), (2), (3), (4), (6) |
登録年 | 1980年(1990年拡大) |
トラヤヌスの市場は「ローマ歴史地区、教皇領とサン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂」の構成遺産の一つ。これはローマ帝国最盛期の皇帝・トラヤヌス帝(53〜117年)が築いた、人類初のショッピングセンターと呼ばれる遺構。ところで、トラヤヌスの市場はなぜ世界遺産なのでしょうか?
ここではトラヤヌスの市場がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、トラヤヌスの市場について詳しくなること間違なし!
トラヤヌスの市場とは?

ローマ旧市街の中央部にある「フォリ・インペリアーリ」は、「皇帝たちの広場」という意味で、多くのローマ皇帝たちが神殿や記念碑を建造しました。その中でも最も北側にある「トラヤヌスのフォルム(公共広場)」は、ローマ帝国最大の領土を築いたトラヤヌス帝によって築かれた公共施設が並ぶエリア。
フォルムの北側には、100〜110年にかけて皇帝によって築かれた市場がありました。市場は2階建てで上層階は事務所、下層階には食料やお酒、油といった商店が並んでいて、他にもレストランやエンターテインメントホールがあったというほど。ここは20世紀まで継続して利用され、途中で塔や修道院が追加されましたが、現在は遺構としてローマ市民の生活が垣間見れるエリアとなっています。
トラヤヌスの市場はどんな理由で世界遺産に登録されているの?



トラヤヌスの市場が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
ローマは、古代から現在まで3000年にも及ぶ歴史を持つ芸術的な建築物であるということ。
登録基準(ii)
古代ローマからルネサンス、バロック、新古典主義まで、ローマ発祥の芸術は世界中の都市計画や建築物、芸術の発展に大きな影響を与えてきたということ。
登録基準(iii)
ローマの遺跡は保存状態がよく、現在も当時の芸術と建築技術の高さがよく見られるという点。
登録基準(iv)
ローマは中心部の都市開発は、3000年近くも途切れることなく続いており、古い町並みと現代建築が調和できるようになっているということ。
登録基準(vi)
キリスト教が伝来してから2000年以上の間、ローマはキリスト教世界の中心都市であり、ヨーロッパの文化の基盤であるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
トラヤヌス帝は市民には人気のある皇帝であり、市場は彼らのために築かれたものとされ、時代が下ると市場として利用されなくなったものの、その後もさまざまな役割をもった継続的な利用が見られるという点で評価されています。
ちなみに、市場の入口には小麦が無料で配布されていた後があり、ローマ市民なら無料で穀物が手に入ったとか。そうなると…最低限の暮らしは保証されていた可能性があるので、現代よりも暮らしやすい社会だったかもしれませんね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。