ご当地料理というのは、何かしらクセみたいなものがあるのだが、マカオで人気のストリートフードであるポークチョップバーガーは…これでもかっていうくらいクセがない。豚の骨付きロース肉をバゲットに挟んだシンプルなグルメで、地味な見た目なのだが…なぜこの料理が人気なのか?
今回は、中国の世界遺産・マカオ歴史地区の帰りに味わったグルメ「ポークチョップバーガー」を紹介。世界遺産巡りのついでに味わってほしい「世界遺産級の激ウマ・グルメ」を解説していこう。
中国の世界遺産「マカオ歴史地区」は、アジアなのにヨーロッパが丸ごと残されたエリア
マカオは、香港とともに中国にありながらヨーロッパの交易拠点として近年まで活躍したエリアで、1999年にポルトガルから中国に返還された後も、かつての姿をそのまま残している。特に世界遺産に登録されている歴史地区はマカオの中心部にあり、ここはアジアの街なのに邸宅、要塞、大学、教会…とにかく西洋の建造物が点在しているから不思議だ。
そういう背景もあり、マカオ料理はポルトガル料理の影響を多く受けていて、マカオの人々はパンでおかずを食べる…なんてのは割りと慣れっこだ。そして、ストリートフードもベースは中華でありつつも、遠くから来たスパイスを使い、洋風のレシピなどがアレンジされていて、この混在具合がマカオの歴史を物語っているだろう。
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シンプルだが…究極のポークバーガーとも言うべき味!
そんなマカオでは多くのストリートフードにポルトガルの香りを感じるのだが、その中でも最も人気なのがポークチョップバーガーだ。これはもともとはポルトガルの「ビファナ」と呼ばれるポークチョップ(豚の骨付きロース肉)をスライスしてにんにくとワインで煮込んだものをバゲットで包んだものがルーツとのこと。これをマカオでアレンジしたらしく、現地では「豬扒包(チーパーバオ)」と呼ばれ、B級グルメとして有名となった。
もともとは1970年代からある程度の人気があったらしいが、1990年代になると老舗の「大利來記(タイレイロイケイ)」が数量限定で売り出すと、マカオ名物となるほどに人気が出て、現在はチェーン店から個人店までどこでも販売している。しかし…残念ながら「色味」もあまりなく、見た目は普通のポークバーガーにしか見えない。とはいえ、これは一口食べると、評価が180度変わる料理なのである!
その人気の秘密は…やはり、深い味わいのポークチョップだろう。店によってタレは異なるのだが、一般的には五香粉(ウーシャンフェン)といった混合スパイスを入れたマリネ液を漬けた豚肉を焼いたり、揚げたりするため、これがまたクセがなく、非常にジューシー。そして、バゲットと豚肉の相性がよく、このタレの風味がカリッカリのバゲットに加わると、全体的に香ばしくなる…
…これは「世界遺産級」の味わいだ!
実はミシュランで掲載されたポークチョップバーガーもある
フランスでも有名なグルメ雑誌であるミシュランガイドブックのストリートフード部門では、下町にある「新英記咖啡麵食」というお店の王道のポークチョップバーガーが掲載されている!実はミシュランも認めたというほどの味わいで、非常にシンプルなものなのだが、食べるとバンズと豚肉の旨味にやられてしまう…食通も唸る不思議な味わいだ。しかし、シンプルだからこそ、わかりやすく、何度でも食べたくなる…という王道の王道を築いたポークチョップバーガーというのは、世界でも珍しい例かもしれない。
世界遺産のついでに世界遺産級のグルメも同時に楽しんでみてはいかが?
※こちらの内容は、あくまでも過去に現地を訪れた際に体験したものであり、最新情報はご自身でご確認ください。