登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (5) |
登録年 | 2006年 |
アフラジ(ファラジの複数形)は井戸の底を水路で繋げるという灌漑システムで、オマーンでは現在も3000ほど利用されていて、これらは紀元前2500年には既に存在していたという説もあるほど。世界遺産としてはオマーン北部にある5つのファラジが登録され、それらは天文観測によって運用。日時計を使いつつ、水は家庭や農業のために平等に分配され、この地域の社会で貢献してきました。
ここではオマーンの灌漑システム、アフラジがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、 アフラジについて詳しくなること間違いなし!
オマーンの灌漑システム、アフラジとは?
ファラジは、地下水路を集め、各家庭や農地を水路を通じて供給するシステムで、ワジという涸れ川を水源にする「ガイリ」、山の湧き水を水源にする「アイニ」、地下水を水源にする「ダウディ」の3種類があります。これは降水量が少ない大地においては重要なインフラで、天文観測による日時計を利用し、共同体による水源を平等に管理することで、ナツメヤシを含めた農業が可能となり、恒久的な居住できるようになったというもの。これらは限られた水源を利用するための伝統的な土地利用を示し、水路を管理・維持するための組織でもあったことから文化的景観が見られます。
オマーンでは現在も3000のファラジが利用され続け、現在でもオマーンで利用される水の30〜50%も供給するというほど。これらは紀元前500年に起源があるものではありますが、なんと紀元前2500年に存在していたという説があります。世界遺産としては北部にある5つのファラジが登録されていて、最古のファラジの一つ、ファラジ・ダリスや、最大規模のファラジ・アル=マルキが登録。それぞれのファラジは水路だけでなく、砦、見張り塔、モスクを中心とした集落、作業小屋などが含まれています。
オマーンの灌漑システム、アフラジはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
アフラジが評価されたのが、以下の点。
登録基準(v)
アフラジは、オマーンで現在も機能している3000もの灌漑システムで、これらは砂漠地帯でナツメヤシやその他の農産物を栽培するための古代の工学技術で、持続可能な生活を示すもの。灌漑システムは地域社会に貢献し、この地はその伝統的な水管理と平等な水の供給が反映されているという点。
世界遺産マニアの結論と感想
アフラジは、現在も社会的なインフラであり、これらは砂漠という厳しい環境の中で恒久的に暮らすための工学技術でもありました。そして、日時計を利用して集落の人々に平等に水が供給するという組織形成にも繋がっているという点でも評価されています。
ちなみに、現在でもアフラジは利用されてはいますが、オマーンでは1970年代以降はダムや淡水化工場が多く建造されるようになり、生活環境もだいぶ改善されています。これによってオマーンの人々の平均寿命も伸びたとか。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。