マダガスカルの世界遺産「アンドレファナの乾燥林群」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分自然遺産
登録基準(7),(9),(10)
申請年1990年(2023年拡大)

マダガスカル各地に残る国立公園と自然保護区が登録。島の西部は「ツィンギ」と呼ばれる石灰岩のカルスト地形が見られ、他にも森林や湖、マングローブの湿地帯などが広がり、ここは絶滅危惧種のキツネザルや鳥類の生息地となっています。西部の乾燥林や南西部の尖った木々の森林では、マダガスカルの森林の進化過程が見られ、貴重な固有種などの多様性も見られるのが特徴。

ここではアンドレファナの乾燥林群がなぜ世界遺産候補なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、アンドレファナの乾燥林群について詳しくなること間違なし!

目次

アンドレファナの乾燥林群とは?

画像素材:shutterstock

もともとは「ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区」として、1990年に単独で単独登録されていましたが、2023年にマダガスカル島北部のアナラメラナ特別自然保護区とアンカラナ特別自然保護区、アンカラファンツィカ国立公園、島南部のミケア国立公園とツィマナンペツォツァ国立公園の5箇所も含めて、「アンドレファナ乾燥林」として拡大登録されました。

マダガスカルはアフリカ大陸から何千万年もの間、孤立していたため、西部の乾燥林と南西部の尖った木々の森林などでは、何百万年もの間、森林の生態系は拡大と縮小を繰り返し、独自の進化を遂げてきました。他の地域では淘汰されてしまった古代の生物から進化した、島の固有種クイナモドキ科などが代表的で、アンドレファナの乾燥林は、島の固有の生態系と多様性を保護するためには不可欠な存在でした。

ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区

画像素材:shutterstock

マダガスカル西部マジュンガ州に位置するツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区は、約1520平方kmもの広大な地域が登録されています。

「ツィンギ」とは「先の尖った」というような意味で、石灰岩のカルスト地形が雨によって削られ、ナイフのような岩が並び、溶食によって亀裂のように削られた台地が見られます。ここには手つかずの森林や湖、沼地に、レムールと呼ばれるキツネザルの仲間アイアイ、ベローシファカなど、貴重な動物が多く生息。

アンドレファナの乾燥林群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

画像素材:shutterstock

アンドレファナの乾燥林群が評価されたのが、以下の点。

登録基準(vii)
ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区は、雨によって石灰岩の台地が切り裂かれ、尖塔のような岩が森のように並ぶという大地の侵食の歴史が見られ、岩の森の周りに原生林が囲むという壮大な景観が見られるという点。

登録基準(ix)
過去数百万年の気候変動は、マダガスカルの景観と動植物の進化に大きな影響を与え、アンドレファナの乾燥林は乾季には縮小し、雨季には拡大し、その変動は水によって削られた地形の起伏が見られます。乾燥林は登録エリアのほとんどに存在し、乾季に動植物が孤立して進化することを可能にしていて、多くの固有種を生み出したということ。

登録基準(x)
登録エリアの乾燥林では、マダガスカルの固有種の80%が生息していて、バオバブやデロニクス科の植物、哺乳類や鳥類、爬虫類などが生息します。ここにはマダガスカル固有種で絶滅危惧種のペリエシファカ、マングースキツネザル、ニシケナガキツネザル、マダガスカルウミワシなどが暮らし、約1000種類の植物、156種の爬虫類、57種の哺乳類、34種の両生類が見られるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

アンドレファナの乾燥林群は、気候変動によって拡大と縮小を繰り返し、その孤立した島の環境もあり、ツィンギ・デ・ベマラを含む乾燥林には固有種や絶滅危惧種が多く生息するようになりました。登録エリアはマダガスカルの固有種であり、絶滅危惧種の保護区となっていることから評価されています。

ちなみに、バオバブの木はマダガスカルには6種、アフリカ大陸には2種見られるのですが、なんとオーストラリア大陸でも見られ、なぜここだけ飛び地になったのかはさまざまな説があり、現在も不明。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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