ヨーロッパの世界遺産「カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分自然遺産
登録基準(9)
登録年2007年(2011年、2017年、2021年拡張)

かつてヨーロッパ各地にはブナ林が多く存在していたのですが、ヨーロッパブナの林は減少しつつあるという状況もあり、現在は18ヶ国94箇所で保護されています。登録エリアでは10種類の原生ブナが見られ、氷河期後期の生態系の進化やブナの分化の過程などが分かるというのが特徴

ここではカルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ヨーロッパのブナ林について詳しくなること間違いなし!

目次

カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林とは?

画像素材:shutterstock

ヨーロッパブナは、北はスウェーデン南部から南は地中海岸、西はポルトガル、東はトルコまで広がっていて、氷河期後期には、ヨーロッパの約40%はヨーロッパブナ(ファグス・シルヴァティカ)の林が広がっていました。

これらはもともとはスロヴァキアとウクライナの世界遺産として登録されたものの、2011年にドイツ、2017年に9ヶ国にまたがり、2021年には18ヶ国にまで拡張。

画像素材:shutterstock

登録エリア各地にはブナの原生林が広がっていて、ヨーロッパブナの原生林としては世界最大の規模を誇ります。ヨーロッパブナは過去100万年にも渡って各氷河期を生き抜き、やがてヨーロッパ各地に拡大。各地には10種類の原生ブナが残っていて、これらは陸上生態系の進化やブナの拡大の過程が分かるもの。

特にドイツの古代ブナ林は、陸上生態系の氷河期以降の進化が見られる場所。林には貴重な動物も多く住み、IUCNのレッドリストに「低危険種」とされているキンメフクロウも生息しています。

カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

画像素材:shutterstock

ブナ林が評価されたのが、以下の点。

登録基準(ix)
ヨーロッパブナは氷河期が終わると北方や西方に広がっていき、北半球の多彩な環境で広く分布し、生態学的に重要であるブナ属の進化の過程が見られるということ。

世界遺産マニアの結論と感想

ヨーロッパブナは氷河期を何度も乗り越え、ブナ林は拡大と縮小を繰り返し、進化していったため、生態系の進化の軌跡を現在にまで残しているという点で評価されています。

ちなみに、キンメフクロウはIUCNのレッドリストでは「低危険種」となり、絶滅危惧種からは脱しています。一方、日本では生息数があまり見られず、しかも森林が減少しているため、極端に生息数が少なくなり、環境省のレッドリストでは「絶滅危惧種」になっているという状況。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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