登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (3), (4), (6) |
登録年 | 2005年 |
テルとは、先史時代の集落跡である遺丘で、地中海東部には200を超えるテルがあり、そのうち北部のメギド、ハツォル、南部のべエル・シェバの3つが世界遺産に登録。ここは何千年にも渡る地中海東岸の技術を示す水利施設の跡が見られ、旧約聖書でも言及されているという点でも価値が高いもの。
ここでは聖書ゆかりの遺丘(テル)群-メギド、ハツォル、ベエル・シェバがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、聖書ゆかりの遺丘群について詳しくなること間違いなし!
聖書ゆかりの遺丘(テル)群-メギド、ハツォル、ベエル・シェバとは?
「テル」とは遺丘を指していて、都市や集落が同じ場所で建設と崩壊を繰り返して形成されたもので、トルコ東部からイスラエルまで地中海東部にあり200ものテルが点在します。そのなかでも、メギド、ハツォル、べエル・シェバは、聖書にも記載のある都市の代表的な遺跡であるという点で評価。
3つの遺跡は、青銅器時代から鉄器時代の都市の富と権力を示していて、ここは紀元前6世紀まで数千年にわたって存続し、長年に渡って磨かれてきた水利システムによって発展したことを示しています。そして、宮殿や要塞などの都市計画が見られ、聖書の時代の歴史的意義も加わっているというのも特徴。
登録されている構成資産
テル・メギド
イスラエル北部、メギド古代遺跡国立公園の一部が登録。ここは旧約聖書において11ヶ所も記載があり、おもに古戦場として登場するもの。メギドは交通の要所でもあるために軍事的にも重要な場所でもありました。
最古の層には、紀元前7000年紀の新石器時代に遡り、26もの遺跡が積み重なったもの。ここは青銅器時代の神殿も多く、何度も再建されています。鉄器時代には地下水を収集する水利システムも発展していたことも判明しています。
テル・ハツォル
イスラエルのテルの中でも最大規模で、レバノンとの国境近くのテル・ハツォル国立公園に含まれるもの。ここは旧約聖書の『ヨシュア記』『士師記』『列王記上』『列王記下』で言及されていて、後期青銅器時代に建造された大規模な宮殿が残っています。
ここは紀元前2000年紀には既に2万人は住んでいたとされ、この地方でも最大の都市であったため、何度も再生されていて、水利施設は中期青銅器時代から鉄器時代までの遺構を見ることができます。
テル・ベエル・シェバ
南部のネゲブ砂漠に位置する遺跡で、現在のべエル・シェバの郊外に残るもの。ベエル・シェバとは、「7つの井戸」という意味で、旧約聖書の『創世記』にてアブラハムが井戸に関する誓いを行ったとされる場所。ここは紀元前4000年紀の遺構が残っているものの、紀元前1000年紀に放棄されるまで何度も破壊と再生した跡が見られます。
聖書ゆかりの遺丘(テル)群-メギド、ハツォル、ベエル・シェバはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
聖書ゆかりの遺丘群が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
3つの遺丘は、中東全域に渡る交易ネットワークによる人間の価値の交換を示し、それぞれの文化の融合を示すものであるという点。
登録基準(iii)
3つの遺丘は、都市計画や要塞、宮殿、水利システムが見られ、これらは青銅器時代と鉄器時代の文明が存在したという証拠となっているということ。
登録基準(iv)
3つの遺丘は、東地中海における都市計画の重要な段階を示し、その後の都市の発展に強い影響を与えたという点。
登録基準(vi)
3つの遺丘は、聖書にも言及されているという点で、宗教的にも価値があるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
聖書ゆかりの遺丘群は、青銅器時代と鉄器時代の文明の存在を示し、遺跡からはかつてここで住民たちが中東全体で交易をして、水利システムを含めて建築物が発展し、他の都市にも大きな影響を与えたという点で評価されています。そして、聖書にも記載のある地名であるというのもポイント。
ちなみに、新約聖書の『ヨハネの黙示録』に登場するハルマゲドンは、ヘブライ語で「メギドの丘」を示していて、終末戦争という意味で使われることも。ブルース・ウィリス主演の『アルマゲドン』もハルマゲドンから由来しています。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。