ルーマニアの世界遺産候補「トゥルグ・ジウのブランクーシ記念作品群」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分(暫定リストに記載)文化遺産
登録基準(暫定リストに記載)(1), (2)
申請年(暫定リストに記載)1991年

ルーマニア南西部にある都市トゥルグ・ジウ。この地方で幼少期を過ごした彫刻家のコンスタンティン・ブランクーシ(1876〜1957年)は、1938年になると『沈黙のテーブル』『キスの門」『無限の柱』を市に提供したため、20世紀を代表する抽象彫刻の傑作が今でも見られます。

ここではトゥルグ・ジウのブランクーシ記念作品群がなぜ世界遺産候補なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ブランクーシ記念作品群について詳しくなること間違いなし!

目次

トゥルグ・ジウのブランクーシ記念作品群とは?

コンスタンティン・ブランクーシは、ルーマニアを代表する建築家で、20世紀の抽象彫刻に多大な影響を与えています。そして、彼はミニアル・アート(シンプルな形と色で表現する芸術)の先駆者の一人でもありました。オルテニア地方にあるトゥルグ・ジウは、彼の生まれ故郷にある都市であることから、1935年に第一次世界大戦時に街を守った兵士たちを讃えるモニュメントの作成の依頼を受けたもの。中心部を東西に走る英雄通りには、1938年に彼の3つの作品が贈られました。

『無限の柱』

無限の柱/トゥルグ・ジウのブランクーシ記念作品群
画像素材:shutterstock

通りでも最も東に位置していて、菱形のモジュールを16個(1個だけ半分にカットされているので見た目は17個)積み上げたもので、高さは29.3m。これは「兵士の無限の犠牲」を表したもの。

1950年代には政府によって取り壊しの計画が立てられたものの、計画は実行されなかったのですが、1980年代には修復が必要なほどに状態が悪くなりました。その後、1998年から政府やワールド・モニュメント財団などによって修復。

『キスの門」

キスの門/トゥルグ・ジウのブランクーシ記念作品群
画像素材:shutterstock

通りでも西側に位置するモニュメントで、高さ5.13mの大理石製の小さな門。柱それぞれにキスのモチーフが施されていますが、これは「別の人生の移行」を表し、門を通じて発生するというもの。

『沈黙のテーブル』

沈黙のテーブル/トゥルグ・ジウのブランクーシ記念作品群
画像素材:shutterstock

ジウ川のすぐそばに位置する、12個の椅子に囲まれた円形のテーブルを表した作品。これは「戦闘の直前」や12という数字から「最後の晩餐」と考える人もいて、多くの解釈がされています。

トゥルグ・ジウのブランクーシ記念作品群はどんな理由で世界遺産に登録される予定なの?

無限の柱/トゥルグ・ジウのブランクーシ記念作品群
画像素材:shutterstock

トゥルグ・ジウが評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
登録基準(ii)

トゥルグ・ジウの英雄通りには、ブランクーシの3つの作品が並んでいて、ここは彼のアートの概念など分かるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

トゥルグ・ジウは、パリで活躍していた20世紀の抽象彫刻家のブランクーシが故郷のために贈った3つの作品が残っていて、彼のアートの概念などが分かるという点で評価されています。

ちなみに、ワールド・モニュメント財団というのは、ニューヨークにある民間の非営利組織であり、アメリカン・エキスプレスの援助を受けて、世界中の建造物や文化遺産の保存に取り組んでいます。ユネスコの世界遺産と近い組織ではありますが、別組織であるので要注意。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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