登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (5) |
登録年 | 2014年 |
イスラエルの内陸部、ユダヤ低地にあるベト・グヴリン=マレシャ国立公園。ここにはかつてマレシャとベト・グヴリンの2つの都市が存在していて、3500もの石灰岩層を築かれた地下室が点在。地下室は産業や宗教に関連する施設として利用されていたことが分かっていて、紀元前8世紀ころから十字軍の時代まで2000年以上に渡って文明が発展したことを証明するもの。
ここではユダヤ低地にあるマレシャとベト・グヴリンの洞窟群 : 洞窟の大地の小宇宙がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ベト・グヴリン=マレシャ国立公園について詳しくなること間違いなし!
ユダヤ低地にあるマレシャとベト・グヴリンの洞窟群 : 洞窟の大地の小宇宙とは?
イスラエルの南部地区、ユダヤ低地にあるベト・グヴリン=マレシャ国立公園。ここは東のメソポタミアから西のエジプトを結ぶ交易ルートに位置することから、紀元前8世紀に南部のマレシャという都市が存在していたと考えられています。しかし、マレシャは紀元前1世紀にパルティア(現在のイランを中心に存在した国家)によって破壊され、その後は北部のベト・グブリンが建設され、この地域の中心地となり、ローマの植民地から十字軍の時代まで都市として機能していました。
このエリアは石灰岩層が広がっていて、地下の洞窟には3500もの地下室が広がっています。ここは当初は採石場ではありましたが、後に搾油機、厩舎、貯水池、浴場、礼拝所、地下納骨堂などに利用され、これらは農業や地元の産業にも活用。特にシドン人(レバノン南部のフェニキア系の民族)による埋葬用の洞窟は、動物や幻獣など、美しい彩色の壁画が見られます。そして、ローマ時代に築かれた「アンフィテアトルム(円形闘技場)」やビザンツ帝国時代に建造された「聖アンナ聖堂」の遺構など、2000年以上に渡って発掘や建造が続けられ、これらは住民によって利用されてきたということを示すもの。
ユダヤ低地にあるマレシャとベト・グヴリンの洞窟群 : 洞窟の大地の小宇宙はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ベト・グヴリン=マレシャ国立公園が評価されたのが、以下の点。
登録基準(v)
マレシャとベト・グヴリンの地下の洞窟群は、鉄器時代から十字軍の時代まで、住民によって地下の石灰岩層の利用が見られ、これらは経済や社会、宗教において貢献してきた人工の洞窟とネットワークの発展が見られるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
マレシャとベト・グヴリンの地下には、もともと柔らかい石灰質の土壌が広がっていて、住民たちは鉄器時代から十字軍時代まで洞窟を採掘し続け、これらは産業や宗教にまつわる施設から墓地まで、さまざまな方法で利用され、住民たちのネットワークの発展が見られるという点で評価されています。
ちなみに、登録名の日本語訳は「洞窟の大地の小宇宙」という、ちょっと何を言っているのか分からない表現ですが、英語も「a Microcosm of the Land of the Caves」と似たようなもので、要は洞窟が地下に無数にあることから、なんとなく、それが「星の集まる宇宙」的な感じがしたんでしょうね…。一応、補足しておくと、聖闘士星矢の特殊能力の「小宇宙(コスモ)」でもありません。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。